竹の順番
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 06:04 UTC 版)
音程は竹の長さとは無関係で、吹き口から向かって右側から時計回りに、以下の通りとなる。竹の長さの順位と押さえる指も併せて示す。 名称 千 十 下 乙 工 美 一 八 也 言 七 行 上 凢 乞 毛 比 読み せん じゅう げ おつ く び いち はち や ごん しち ぎょう じょう ぼう こつ もう ひ 近似音 F#6 G5 F#5 E5 C#5 G#5 B4 E6 (G6/A#5) C#6 B5 A5 D6 D5 A4 (D#5/F5) C6 十二律 下無 双調 下無 平調 上無 鳧鐘 盤渉 平調 (双調/鸞鏡) 上無 盤渉 黄鐘 壱越 壱越 黄鐘 (断金/勝絶) 神仙 竹の長さの順位 5 4 3 2 1 2 3 4 5 5 4 3 2 1 2 3 4 押さえる指 R1 R1 R2 R2 R1/[L1] L1/[R1] L1 L1 (L1) L1 L2 L3 L4 L4 L4/[R4] (R3/R4) R2 笙の管名及び合竹名の「行」は「彳」と略されることもある。 竹の長さの順位は、1(最長)・2・3・4・5(最短)と長い順に数字で示している。すなわち、最も長いものは工と凢、最も短いものは千と也と言、他はその中間で、全部で5段階になっており、鳳凰の姿に見立てられる形となっている。正倉院の笙には、比も短くして千・也・言と同じ長さにしたものもある。 押さえる指は、L(左手)・R(右手)、1(親指)・2(人差し指)・3(中指)・4(薬指)で示しており、原則計6本を用いる。右手人差し指(R2)は千・比の竹の間の隙間に入れ、下・乙は内側から押さえ、比は指の裏で押さえる。 左手人差し指(L2)の担当する七、左手中指(L3)の担当する行は、指孔が上の方にあるので指を伸ばしたまま押さえる。 1本の指では原則1管のみを押さえる(特に古典曲では必ずそうする)が、現代音楽や西洋音楽系の曲等では、原則の運指の他、演奏の都合上時として角カッコで示された運指が用いられることもあり、また時には同一指で2管同時に押さえることもある。 也・毛は、正倉院の笙(奈良時代の笙)では簧(した)が付けられていたが、現行の笙では通常簧が付けられておらず無音であり、外観を整えるために竹が残されている。この也・毛から「野暮」という言葉が発生したという説もある。伝来当初は也はG6、毛はD#5であったが、雅楽の六調子で必要がないため使用されなくなった。中世には也・毛の竹の別の利用法として、麝香を納めることも行われた。現代音楽や西洋音楽系の曲等では也をA#5、毛をF5として簧を付けた特別仕様の笙が使われることもある。 笙についての古い文献には以上の17本の竹の他に、「卜」「斗」という名前の竹について記述されていることがある。日本の笙の元となったあるいは音律的に非常に近い関係にある、中国の唐時代や宋時代の笙では、19管の笙や、「義管笙」といって、17管の他に2本差し替え用の特別な竹を持つものが存在したようであり、前者の17管笙より2本多い分や、後者の差し替え用の竹が卜・斗で、卜はF5(勝絶)、斗はA#5(鸞鏡)であったとされる。中国の宋時代の19管笙では、竹管の配列が「千十下乙卜工美一八也言七斗行上凢乞毛比」に相当するものとなっていたとされる。正倉院に3個残されている笙はいずれも17管であるが、その竹の中にも差し替え用(義管)の卜・斗と見られるものがある。 笙の管名の譜字は、琵琶(楽琵琶)の譜字と同源とされている。正倉院の笙3個・竽3個のうち、笙2個・竽2個には管名の墨書があるが、その管名は古体で、現在の管名の字体とは異なるものが多い。その古体と今体の対応は次の通り。実際には笙2個・竽2個の全ての管に書かれているわけではなく、書かれていなかったり、表と異なる字が書かれている例も一部ある。 古体(正倉院の墨書)ム 十 ス L ユ 乙 一 八 ヤ 〻 七 リ 丄 几 レ ネ ヒ 今体(現行)千 十 下 乙 工 美 一 八 也 言 七 行 上 凢 乞 毛 比
※この「竹の順番」の解説は、「笙」の解説の一部です。
「竹の順番」を含む「笙」の記事については、「笙」の概要を参照ください。
- 竹の順番のページへのリンク