科学哲学における実証主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 09:28 UTC 版)
「実証主義」の記事における「科学哲学における実証主義」の解説
論理実証主義の意味で用いられ、還元主義と共によく用いられる。サブラによれば、論理実証主義を打ち立てた最初期の科学者は10世紀のアラビアの科学者イブン・アル・ハイサムである。彼は実験や経験知から法則性を見出し、光学を飛躍的に発展させた。 特に現代の文脈で使われる実証主義は、自然科学その他で取り上げられる、科学探究に対する態度の一つとしてのそれである。この場合、実証主義は「一般法則は観察と論理によってのみ正当化される」と主張する。そこからは当然ながら独断や啓示は排除される。実証は観察と論理によるから、主に帰納法がとられる。ところが、ここで根本的な問題が生じる。「帰納法の使用に基づく実証そのものの正当性はいかにして正当化されるのか?」ということである(cf. 帰納)。「全ての正当化が帰納法によってのみ行われうる」という法則(Lとする)もまた一つの一般法則であろう。すると、この一般法則Lもまた実証によってのみ正当化されねばならない。ここで、実証は帰納法に基づくから、一般法則Lもまた帰納法で証明される必要がある。ところが、帰納法の広い正当性をより狭い帰納法で証明することは基本的に論理的でなく、帰納法は基礎において厳密な論理的根拠がない。この事情から、帰納によってのみ実証するという意味での実証主義は、科学分野の基礎としては弱点が見られる。 帰納法そのものは「自然の斉一性」すなわち「他の要因がない限り、事象は今まで通り動いていく」に基づいている。これもまた、実証されるべき一般法則であるが、当然ながらこれを実証することは不可能である。
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