神秘主義的タロットの展開
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「タロット」の記事における「神秘主義的タロットの展開」の解説
フランスでは一時期はタロットといえば「エッティラ版」が主流となり、一般の「マルセイユ版」をほとんど駆逐してしまったこともあった。この後、1854年には、エリファス・レヴィが『高等魔術の教義と儀式』を著し、タロットとカバラ(ユダヤ神秘主義)との関係を体系化し、その中で大アルカナ22枚とヘブライ文字22文字の対応関係を改めて主張した。ナポレオン3世に仕え一世を風靡した有名な占い師エドモン(フランス語版)は、このレヴィの説に基づいたオリジナルタロットを使用していた。続いて1889年にスタニスラス・ド・ガイタ(フランス語版)とともに「薔薇十字カバラ団」を設立したパピュス(フランス語版)は、カバラの基本文献である『形成の書』のヘブライ文字と世界の構成諸要素を対応させる思想に基づき(各カードを介して)ヘブライ文字を7惑星・12星座と対応させた。小アルカナについてもカバラの象意を配当した。即ちワンド・カップ・ソード・コインのスートに、それぞれヤハウェの名前Y・H・V・H、さらに各スートの1から10までの数札に生命の樹におけるケテルからマルクトまでのセフィラを関連付けた。またパピュスは神秘主義的タロット論『ジプシーのタロット』を著したが、同書に付された22枚のタロットはスタニスラス・ド・ガイタの弟子のオズヴァルド・ヴィルトの作画であった。これはレヴィやパピュス、ガイタ、そしてウィルトらの説に基づいてヘブライ文字と対応させた最初のタロットでもあった。 ここまでの流れはすべてフランスにおける展開であったが、フランスでの潮流に刺激され、英国でもレヴィのカバラ的解釈を継承する魔術結社「黄金の夜明け団」が生まれ、この系統から後にいくつかの名作タロットが生まれた。黄金の夜明け団では、タロットとヘブライ文字との関係付け、タロットと7惑星・12星座との関係付けも改めて行った上、小アルカナについてもワンド・カップ・ソード・ペンタクルにカバラの創世論におけるアツィルト・ブリアー・イェツィラー・アッシャーの四つの世界を、キング・クイーン・ナイト・ペイジにはコクマー・ビナー・ティファレト・マルクトのセフィラと四大元素の火・水・風・地を当てはめている。
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