研究ステージとタイムライン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 04:48 UTC 版)
製剤研究では、安定性が高く、患者に受け入れられる薬剤の開発を行う。経口投与される薬剤の場合は、通常、錠剤やカプセルに薬剤を封入する。錠剤には、薬物以外にもさまざまな不活性物質が含まれており、カプセル化された薬物がこれらの物質と直接または間接的に害を及ぼさないように適合するかどうかを検討しなければならないという点が重要である。 プレフォーミュレーション(英: preformulation、事前製剤)では、製剤に使用する他の成分(賦形剤、ふけいざい)を選択するために、薬物の物理的、化学的、機械的な特性を評価する。タンパク質の事前製剤を行う上で重要なことは、凍結/解凍、温度、せん断応力などのさまざまなストレス条件下でのタンパク質の溶液挙動を理解して、分解のメカニズムを特定して、その影響を軽減することである。 製剤研究では、粒子径、多形性、pH、溶解性などの要素を考慮する。これらの要素はすべて、バイオアベイラビリティ、すなわち薬物の活性に影響を与えるからである。その薬物は、存在する薬物の量が各投与単位(例:各錠剤)で一貫していることを保証する方法によって、不活性成分と組み合わせる必要がある。その剤形は、外観が均一で、味、錠剤の硬さ、カプセルの分解性が許容できるものでなければならない。 臨床試験が開始されるまでに製剤研究が完了する可能性は低い。つまり、最初は第I相臨床試験に使用するための簡単な製剤が開発されることを意味する。これらは一般的に、少量の薬剤と希釈剤が入ったカプセルを手作業で充填して構成する。こうした製剤は数日で使用(テスト)されるため、長期安定性の証明は必要ない。いわゆる薬物負荷(英: drug loading)として知られるもの、つまり用量の総含有量に対する活性薬物の比率を考慮する必要がある。薬物負荷が低いと、均質性の問題が生じる場合がある。薬物負荷が高いと流れ(英語版)が悪くなったり、調合物の容積密度が低いと大きなカプセルが必要になることがある。 第III相臨床試験に至るまでには、最終的に市場で使用される製剤に近い形で製剤が開発されていなければならない。この段階では、安定性に関する知識が不可欠であり、薬物が製剤中で安定していることを保証するための条件が開発されていなくてはならない。薬剤が不安定であることが判明した場合、実際に投与された用量がわからなくなるため、臨床試験の結果が無効になる。安定性試験では、温度、湿度、酸化、光分解(紫外線や可視光線)などの影響がないかどうかを調べ、分解生成物が形成されているかどうかを確認するために調製物を分析する。
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