研究の現在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 02:09 UTC 版)
「RNA結合タンパク質」の記事における「研究の現在」の解説
RNA結合タンパク質は多数の細胞機能に対して重要な制御を行っているため、多くの研究者が研究を行う人気の領域である。RNA結合タンパク質の実験的同定法に関する近年の開発により、既知のRNA結合タンパク質の数は大幅に増加した。 RNA結合タンパク質Sam68は、樹状突起における適切なシナプス機能の発揮のため、RNAの代謝の空間的・時間的区画化を行う。Sam68の欠失によって転写後調節に異常が生じ、最終的には脆弱X随伴振戦/失調症候群(英語版)(fragile X-associated tremor/ataxia syndrome)などの神経疾患が引き起こされる。Sam68はβ-アクチンをコードするmRNAと相互作用することが判明しており、β-アクチンは樹状突起の細胞骨格構成要素とともにシナプス形成を調節する。Sam68はシナプス後細胞でのβ-アクチンのmRNAの代謝制御を介してシナプス数の調節に重要な役割を果たす。 神経特異的なCELFファミリーのRNA結合タンパク質UNC-75は、C. elegansの神経細胞において、unc-32遺伝子のmRNAのUUGUUGUGUUGU配列に対して3つのRRMを介して特異的に結合し、エクソン7aの選択を行う。エクソン7aは弱いスプライス部位であるため神経細胞以外ではスキップされるが、神経細胞ではUNC-75がエクソン7a-8間のスプライシングを特異的に活性化するため、エクソン7aがmRNAへ組み込まれる。 低温誘導性のRNA結合タンパク質であるCIRBP(英語版)は、短波長紫外光、低酸素、低体温を含むさまざまな細胞ストレスに対する応答を制御する役割を持つ。このタンパク質と炎症関連疾患との関係の可能性が研究からは示唆されている。 SRタンパク質様のRNA結合タンパク質Slr1は、カンジダCandida albicansの極性成長を制御することが知られている。Slr1の変異によってフィラメント化や、マウス体内での上皮細胞や内皮細胞に対する損傷が低下し、変異株が感染したマウスは野生株感染マウスと比較して生存率が上昇した。この研究からは、Slr1がC. albicansの菌糸形成の促進とビルレンスに関係していることが示されている。
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