研究の目的と内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/21 01:53 UTC 版)
「比較選挙調査プロジェクト」の記事における「研究の目的と内容」の解説
CSESプロジェクトは、主に二つの目的のために1994年に設立された。第1の目的は、国政選挙研究者の間の国際協業を推進することである。第2の目的は、政治制度(とりわけ選挙制度)の違いや制度の違いが個人の態度や行動(とりわけ投票参加と投票選択)へ与える影響の研究を可能にすることである。 CSESのデータセットには、3レベルの変数が含まれている。1つ目はミクロレベルの変数であり、各対象国の選挙後の調査における回答者の回答から得られている。2つ目は選挙区レベルの変数であり、回答者が居住する選挙区の選挙結果が含まれている。3つ目はマクロレベルの変数であり、国の状況や選挙制度についての情報に加えて経済指標や民主主義指数などの集計データが含まれている。Figure 1に示されるような入れ子式のデータ構造がマルチレベルでの分析を可能にしている。 新しいテーマのモジュールがCSES企画委員会によって5年ごとに考案されている。完全版のモジュールを最終的に公開するのに先立って、CSESは定期的にデータセットを先行配布しており、このデータセットにはそれまでに未公開であった過去のモジュールのデータが含まれる。 モジュール1のためのサーベイデータの収集は1996年から2001年までに実施され、制度のパフォーマンスについて焦点があてられた。このモジュールによって、選挙制度が市民の政治認識や行動に与える影響や政治的・社会的亀裂および連合関係に与える影響を研究することが可能になっている。さらに、民主的な制度やプロセスに対する市民の評価についての研究も可能になっている。モジュール1には、33か国で実施された39の選挙に関する調査が含まれている。 モジュール2のためのサーベイデータの収集は2001年から2006年までに実施され、アカウンタビリティと代表について焦点があてられた。このモジュールでは、選挙は政府をaccountableにする装置であるという見解と、選挙は市民の意見と利益が民主的なプロセスにおいて適切に代表されることを保証するための手段の一つであるという見解の対比が取り扱われた。モジュール2は、38か国で実施された41の選挙に関する調査が含まれている。 モジュール3のためのサーベイデータの収集は2006年から2011年までに実施された。このモジュールでは投票において意味のある選択が行われているのか分析することが可能になり、選挙研究の重要な論点である選択におけるcontingencyに焦点があてられた。モジュール3は、50か国で実施された41の選挙に関する調査が含まれている。 モジュール4のためのサーベイデータの収集は、2011年から2016年までに実施され、分配政治と社会的保護について焦点があてられた。主要テーマとして調査されたのは、公共政策に関する有権者の選好と、選好の形成において政治制度や投票行動が果たす役割である。モジュール4は、39か国で実施された45の選挙に関する調査が含まれている。 モジュール5のためのサーベイデータの収集は、2016年から2021年まで実施され、有権者の政治的エリートについての認識、そして外集団(out groups)についての認識に焦点をあてている。したがって、反エスタブリッシュメント政党や外集団を敵視する政党の台頭という状況における有権者の態度と投票行動についての研究が可能になっている。 各モジュールで利用が可能な変数リストの完全版はCSESのホームページで手に入れることができる。
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