短波通信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/12 17:19 UTC 版)
佐藤和正は著書『レイテ沖海戦』で謎の反転問題を論じた際、日本海軍の短波通信の扱いについて触れている。それによると太陽黒点活動等自然界の悪影響は12-13MHz付近で強く現れ、2-4MHzでは小さいことを発見した日本海軍は低周波での艦隊通信を確立する必要を認識し、その開発に着手したものの太平洋戦争を迎えて広く実用するには至らなかったことを述べている。一方、下記の作戦計画の通信計画では各隊・目的別の周波数割当についての記載があり、そこには2-4MHzの周波数が多く記されている。一例としては、第7艦隊第77任務部隊司令官より第3艦隊司令官への割当は4,135Kcsの電信(CW)である。なお、電信は当時の通信で一般的に主用されていた手段であった。 また、揚陸作戦の指揮との関連では近垂直放射空間波(Near Vertical Incidence Skywave,NVIS)の活用があった。これは、アメリカの無線技術者で博士のハロルド・ベバレッジ(Harold Beverage)により発想されたものである。短波は直接波(地上波)と空間波(反射波)により伝播するが、近距離ではその両方が伝達しない不感帯が存在する。これを解消するために、高角度で電波を発射する事で短波でも近距離で通信を行おうとするものである(詳細は外部リンク)。密林での通信確保には有用な方法で揚陸指揮艦と上陸部隊との通信確保に使われ、よく知られた事例としては1944年6月のオーバーロード作戦にてアンコン(英語: USS Ancon (AGC-4))が使用し、トラブル無く作戦を成功させるのに寄与した例があった。この手法はその後も重用され、朝鮮戦争、ベトナム戦争などでも使われた。なお、アンテナの設置はダイポールと異なり水平かつ波長に対して低い位置(0.1~0.25波長)で行う。
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