発見から臨床試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/28 13:52 UTC 版)
1990年代初め、ロンドンで前立腺癌治療薬の探索が始まった。出発物質はケトコナゾールであった。アビラテロンはより有効性の高い物質として1993年に特許が出願され、受理された。 最初の臨床試験は2004年に開始された。2007年に化学療法未治療の患者に対する臨床試験で、70%の患者でアビラテロン酢酸エステルがPSAを減少、腫瘍を縮小、症状を軽減、LDHを正常化し、放射線治療と同様に有効であることが示された。しかし2008年には未だ長期使用時のベネフィットが明らかではないとも言われていた。 2つの第II相臨床試験の結果、アビラテロンはPSAを減少させ、腫瘍を縮小することが示された。第II相試験の21人の患者の多くが、QOLの著しい向上を示し、数人は骨転移による疼痛管理のためのモルヒネ投与を中止できた。平均すると無増悪生存期間(PFS)は、化学療法既治療群では161日延長し、未治療群では236日延長していた。 化学療法未治療患者に対する第II相臨床試験(33人)でのPSA無増悪期間は337日、ドセタキセル既治療の患者に対する第II相臨床試験(47人)でのPSA無増悪期間は169日であった。 進行乳癌に対する第I/II相臨床試験が進行中である。 小規模な試験の結果、腫瘍が前立腺組織内に留まっている場合はアビラテロンは1⁄3の患者で腫瘍が消失またはほぼ消失したと報じられた。 ドセタキセル既治療の患者に対する第III相臨床試験は2008年に始まった。並行して化学療法未治療の去勢抵抗性前立腺癌に対する偽薬対照無作為化第III相臨床試験の登録が2009年4月に開始された。 2010年9月には、ドセタキセル既治療群試験の中間解析が独立委員会により実施された。結果は良好であり、半数に偽薬を投与することが非倫理的であるとして全ての患者にアビラテロンが投与開始された。全生存期間は14.8ヶ月(偽薬群10.9ヶ月)で、偽薬群よりも3.9ヶ月延長していた。 化学治療未治療の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する二重盲検無作為化第III相臨床試験が実施され、1,088人の患者がアビラテロン酢酸エステル(1,000mg)+プレドニゾン(5mg×2回/日)(以下AP群)または偽薬+プレドニゾン(以下PP群)に割り付けられた。読影に拠る無増悪生存期間はAP群16.5ヶ月vs.PP群8.3ヶ月(ハザード比:0.53、95%信頼区間(CI):0.45〜0.62、P<0.001)であった。中央値22.2ヶ月の追跡で、AP群の全生存期間はPP群より有意に延長していた(NYR vs.27.2ヶ月、ハザード比:0.75、95%CI:0.61〜0.93、P=0.01)。2012年12月にFDAにより追加承認された。
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