発見された和鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 08:18 UTC 版)
2005年(平成17年)11月1日から2006年(平成18年)3月19日には山梨県笛吹市御坂町の山梨県立博物館においてシンボル展「重要文化財善光寺阿弥陀三尊像」が開催された。浅野長政が寄進した木造阿弥陀三尊像を展示した企画で、これに際して同博物館の考古学や保存科学、美術史を専門とする学芸員の共同研究により像の調査が行われた。 エックス線撮影装置を用いた非破壊検査により観音菩薩像の足元付近、勢至菩薩像の顔部に円形平板状の納入物が発見された。納入物は画像解析から鏡の紐、文様の影像が認められ、和鏡と判明した。 観音菩薩立像内の和鏡は無縁・無圏の円鏡で、直径8センチメートル前後と推定され、同じ形式の和鏡よりも小さい。中心部の鈕(つまみ)には紐(ひも)を通すための孔がある。周囲の鈕座(ちゅうざ)には放射状に花弁文様が巡り、花弁文様は斜めに連続して風車状となっている。このような形式は12世紀中葉・後半に特徴的な「捩菊座鈕」(ねじりぎくざちゅう)と呼ばれる。周囲の文様は萩やススキなど秋の植物、飛翔する鳥などが描かれ、古代から中世前期の和鏡に多い「秋草双鳥鏡」((あきくさそうちょうきょう)と見られている。 勢至菩薩立像内の和鏡も同様に無縁・無圏の円鏡で、直径は同じく8センチメートル前後と推定されている。中心には鈕がある。鈕座外縁には花弁文様があり、12世紀から14世紀に特徴的な「花蕊座鈕」(かずいざちゅう)と呼ばれる。鈕の周囲には、下方に流水文・水草、右側上部に尾長鳥とも見られる飛翔する鳥2羽が描かれ、「水草流水双鳥鏡」と判断された。
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