症状と血液・骨髄の検査所見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 06:57 UTC 版)
「慢性骨髄性白血病」の記事における「症状と血液・骨髄の検査所見」の解説
慢性骨髄性白血病の最初の病期であり患者の85%を占める慢性期では自覚症状に乏しいが、自覚することがある症状としては、慢性骨髄性白血病は脾腫を伴うことが多いので腹部膨満は比較的見られる自覚症状である。他には腹痛、倦怠感などがあることもあり、稀には発熱や出血、貧血なども見られることもある。しかし多くの患者では顕著な症状は無く、健康診断で白血球数の増多を指摘されて初めて受診し発見されることが多い。。病期が進行し移行期から急性期になると骨髄は芽球が占拠し末梢血にも芽球があふれ、急性白血病と類似する諸症状(白血球減少による高い発熱を伴う感染症、血小板減少による易出血状態、赤血球減少による貧血の諸症状、各種臓器への白血病細胞の浸潤に伴う諸症状)が現れる。 慢性期の慢性骨髄性白血病の血液では白血球が著明に増加し(半数以上の患者では10万個/μl以上、基準上限値の10倍以上になる)、血小板も増加していることが多い。貧血は多くはないが、ヘモグロビン (Hb) 値が10g/dl以下のはっきりした貧血も20%の患者で見られる。 増加している白血球は、好中球、好塩基球、好酸球であるが、特に好中球と好塩基球の増加は顕著である。好塩基球は一般には白血球の1%以下しかない稀な種類の白血球であるが、慢性骨髄性白血病では一番初期、他の血球に先んじて好塩基球が増加し始め、慢性期を通じて好塩基球は著明な増加を見せる[要出典]。好塩基球の増加が慢性骨髄性白血病の極めて特徴的な所見である。好塩基球に続いて好中球が増加し(元々白血球では一番多い種類だが)膨大な数になるが、好中球は顕微鏡観察では一見正常に見えるが、アルカリフォスファターゼ (NAP) 活性が著明に低下し、他の白血球増多症との重要な鑑別点となっている。 骨髄では明白な過形成(細胞が増加し通常より高密度になっている状態)で骨髄系細胞(主として好中球・好塩基球・好酸球の幼若球)と赤血球の幼若球である赤芽球の数量の比(M:E比)は10:1-30:1と極端に骨髄系細胞に偏っている。それに加えて巨核球も通常は増加している。造血をしている正常な骨髄はおよそ半分は脂肪であるが、慢性骨髄性白血病では血液細胞が著増するので脂肪分はほとんど見られなくなる。
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