(WHO型)病態分類法
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「脂質異常症」の記事における「(WHO型)病態分類法」の解説
1965年Fredriksonらは、ヒトのコレステロールや中性脂肪を超遠心分析法と濾紙電気泳動法で分析し、高脂血症(現在の脂質異常症)をI型・II型・III型・IV型・V型と命名し、1970年に世界保健機構もこの分類法を承継してI型・IIa型・IIb型・III型・IV型・V型とするWHO型の病態分類法を制定し、日本動脈硬化学会も、同上の脂質異常症の表現型分類を「脂質異治療ガイド2013年版」に掲載した。しかし、旧態のWHO型は、最近使われなくなった分析法による分類で、実際の判定に使用され難くなっていた。また、日本動脈硬化学会の2013年版も、リポ蛋白質の種類やコレステロールおよびトリグリセライドが増加したか否かの表現で具体的な判定法が示されていなかった。2019年久保田らは、最近臨床検査室で日常使われている分析法の測定結果を用いて、改変型WHO病態分類法を提案し、具体的な数値でもって判定することができるようになった。 特徴的な病態 IIa型脂質異常症 : 家族性高コレステロール血症の家系に多い。コレステロールが高く、VLDLや中性脂肪 (TG) は正常に近い。 IIb 型脂質異常症 : 家族性高コレステロール血症の家系に多い。コレステロールが高く、VLDLや中性脂肪 (TG) も正常より高い。 III型脂質異常症 : 遺伝的にアポタンパクE2/2ホモタイプに出現することが多い。VLDLが高くLDLがほとんどないタイプ。若くして心筋梗塞になりやすいが、発症しない人もいる。 IV型脂質異常症 : コレステロールは正常より若干高い。VLDLや中性脂肪 (TG) も非常に高い。アポタンパクE4を持っていることが多い。 V型脂質異常症 : VLDLや中性脂肪 (TG) が非常に高く、LDLが相当低いタイプ。LDLコレステロールが低いからと放置すると膵炎を起こすことがある。 遺伝的にリパーゼ (LPL, HDGL) などの欠損または活性機能障害の時に発症することがある。 脂質異常症WHO型の簡易判定法 WHO型 VLDL分画(%) IDL分画(%) HDL分画(%) その他 I型 ND ND ND IDL、LDL、HDL分画のピーク値のODが0.03以下 IIa型 15%未満 ND 33%未満 総コレステロール値が220mg/dL以上 IIb型 15-25%以内 ND 33%未満 総コレステロール値が220mg/dL以上 III型 30%以上 10%以上 ND LDLのピーク値のODが 0.1以下 IV型 20%以上 ND 33%未満 V型、III型、IIb型でないこと V型 30%以上 ND 10%以上 IDL、LDL分画のピーク値のODが0.1以下 注1. 分画 (%) は、リポ蛋白分画(PAGE法、80点)のリポフォーAS(R)の検査報告書に記載されている。注2. 本WHO型の簡易判定法は、下記参考文献1の表2の小粒子LDL(sLDL)をIV型に含め簡素化したものである。sLDLを考慮されたい者は、を参照のこと。注3. ODはOptical Density(pixel)、NDはNot Dependent。
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