病態学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/14 13:44 UTC 版)
PMP22の過剰発現はgain of functionの機序で末梢神経全体に影響を与える。その病原性の機序はPMP22の点突然変異によっておこるCMT1Eとは異なる。 まずはPMP22のトリソミーではPMP22のmRNAが過剰発現する。過剰発現の程度には様々なレベルがある。様々なレベルのPMP22のmRNAの過剰発現によってPMP22蛋白質も過剰になる。PMP22蛋白質の過剰によってシュワン細胞内の2つの経路で脱髄がおこると考えられている。まず第一にコレステロール生成系の酵素を抑制すること、第二にP2X7受容体をアップレギュレートする。コレステロールの合成低下はミエリン形成異常を引き起こし、P2X7の増加はシュワン細胞内のカルシウムイオン濃度を増加させ、その結果、節性脱髄がおこることが知られている。またPMP22蛋白質の過剰は軸索とシュワン細胞の相互作用にも異常をおこす。Schwann cell-Axon Interactionの結果、遠位部で軸索障害がおこる。PI3K-AKT-mTORシグナル伝達系とRas-Raf-MEK-ERKシグナル伝達系がバランスをとりシュワン細胞の軸索サポート機能を担っているが、PMP22の過剰発現はPI3K-AKT-mTORのシグナル伝達を負に制御し、その結果Ras-Raf-MEK-ERK伝達系のへの抑制が低下する。この2つのシグナル伝達系のバランス異常がシュワン細胞分化障害を誘導する結果軸索サポート機能が消失する。ニューレグリン-1治療はPI3K-AKT-mTORとRas-Raf-MEK-ERK伝達系のバランス障害を是正することで軸索サポート能力を確保する。
※この「病態学」の解説は、「PMP22」の解説の一部です。
「病態学」を含む「PMP22」の記事については、「PMP22」の概要を参照ください。
病態学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/14 13:44 UTC 版)
PMP22の発現量が低下することで髄鞘の過形成であるトマキュラが多巣性に形成される。しかしトマキュラが形成されるメカニズムは不明である。トマキュラの形成によってミエリンの電気抵抗が減少しleakしやすくなる。機械的な圧迫により容易に伝導ブロックが生じる。この現象はマウスのPMP22をモノソミーにしても再現することができる。
※この「病態学」の解説は、「PMP22」の解説の一部です。
「病態学」を含む「PMP22」の記事については、「PMP22」の概要を参照ください。
病態学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/14 13:44 UTC 版)
正常なPMP22蛋白質の発現量の問題であったCMT1AとHNPPとはCMT1Eは病態が大きく異る。PMP22にミスセンス変異があるとシュワン細胞内で変異PMP22蛋白質が生成され、この変異PMP22蛋白質がシュワン細胞内凝集体をつくる。変異PMP22蛋白質は小胞体から細胞膜へ適切に輸送されない。そのため小胞体-ゴルジ中間区画で正常なPMP22とヘテロダイマーを形成し、凝集体を形成する。凝集体形成によって小胞体ストレスや小胞体関連分解(ERAD)のアップレギュレーションやオートファジーのアップレギュレーションがおこる。これらの結果、脱髄がおこるがその機序は不明である。また一部の変異では節性脱髄が非常に目立つことがある。
※この「病態学」の解説は、「PMP22」の解説の一部です。
「病態学」を含む「PMP22」の記事については、「PMP22」の概要を参照ください。
- 病態学のページへのリンク