疾患と治療ツール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 07:48 UTC 版)
「アルゴノート (タンパク質)」の記事における「疾患と治療ツール」の解説
膵臓がんのように特定の同定された遺伝子の選択的な発現または発現の高進に関与する疾患の場合、RNA干渉は高い配列特異性によって適切な治療法として、特に変異した内因性遺伝子配列に関連するがんと闘うのに適している可能性がある。いくつかの非コードRNA(microRNA)がヒトのがんと関連していることが報告されており、たとえばmiR-15aやmiR-16aは、患者で頻繁に欠失や下方制御を起こしている。miRNAの生物学的機能は完全には解明されていないが、発生および代謝中の細胞増殖と細胞死の調整におけるmiRNAの役割が明らかになってる。miRNAは、さまざまなレベルで負または正の調節を行うことができると期待されており、それは特定のmiRNAと標的塩基対との相互作用およびそれらを認識する補因子に依存する。 多くのウイルスがDNAではなくRNAを遺伝物質とし、ライフサイクルの中で少なくとも一度は二本鎖のRNAを作ることが広く知られていることから、RNA干渉は、ウイルスから生物を守るための潜在的で進化的に古いメカニズムである可能性があると考えられてきた。Dicerが生成する低分子干渉RNAは、エンドヌクレアーゼであるRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)をmRNAへ導くことで、配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングを引き起こす。このプロセスは、アカパンカビ菌(これはクエリングとして知られる)、植物(転写後遺伝子サイレンシング)、哺乳類細胞(RNAi)など、幅広い生物で見られる。低分子RNAと標的との間に完全またはほぼ完全な配列相補性がある場合、RISCのアルゴノートタンパク質成分が標的転写物の切断を仲介し、この機構は主に翻訳の抑制を伴っている。 重要なのは、アルゴノート4(AGO4)欠損インフルエンザ感染マウスは、in vivo(生体内)での負荷量やウイルス力価が著しく高く、これはAGO1やAGO3欠損マウスとは対照的なことである。そのため、哺乳類細胞においてAGO4の機能を特異的に促進することは、効果的な抗ウイルス戦略となる可能性がある。
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