疾患と老化における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 02:19 UTC 版)
「mTORC1」の記事における「疾患と老化における役割」の解説
mTORと老化との関連は2001年、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにおけるS6KのオルソログであるSCH9の欠失によって、その寿命が2倍となることから発見された。この発見によって、上流のシグナル伝達ならびにmTORC1に対する関心は大きく高まった。そして線虫Caenorhabditis elegans、ショウジョウバエ、マウスといったモデル生物でmTORC1を阻害する研究が行われた。これらすべてのモデル生物で、mTORC1の阻害は寿命を大きく伸長した。 mTORC1の上流のシグナル伝達からは、摂食量とmTORC1活性の明確な関連が観察されている。具体的には、炭水化物の消費はIGF経路を介してmTORC1を活性化する。さらに、アミノ酸の消費は分枝鎖アミノ酸/Rag経路を介してmTORC1を刺激する。そのため摂食制限は、これらリソソームへ収束する双方の上流経路を介してmTORC1シグナルの阻害をもたらす。 摂食制限は、ヒトのモデル生物であるアカゲザルでも大きく寿命を伸長するとともに、加齢に伴う機能低下からも保護することが示されている。より具体的には、カロリー制限食を行ったアカゲザルでは、制限を行わなかったサルと比較して、心血管疾患、糖尿病、がん、老化に伴う認知機能低下の発生頻度が大きく低下した。
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