生産国および生産量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 02:51 UTC 版)
21世紀初頭の時点では、オーストラリアおよびブラジルが主なタンタル生産国であったが、それ以降はタンタル生産の大きな地理的変化が進んでいる。2007年から2014年にかけて、鉱山からのタンタル生産はコンゴ民主共和国、ルワンダやその他アフリカ諸国へと大規模に移っている。2017年のタンタル生産国上位は、1位がルワンダで390トン、2位がコンゴ民主共和国で370トン、3位がナイジェリアで190トン、4位がブラジルで100トン、5位が中華人民共和国で95トンの順となっている。将来的なタンタル供給源は、推計されている埋蔵量順に、サウジアラビア、エジプト、グリーンランド、中華人民共和国、モザンビーク、カナダ、オーストラリア、アメリカ合衆国、フィンランド、ブラジルである。 長らくタンタルの最大生産国であったオーストラリアでは、最大生産者のタリソン・ミネラルズ(英語版)が西オーストラリア州の南西部のグリーンブッシュおよびピルバラ地区のウドギナという2か所で鉱山を操業している。世界的な金融危機のために、ウドギナ鉱山は2008年末に操業を中止していたが、2011年1月に再開された。再開から1年経たないうちに、タリソン・ミネラルズは「タンタル需要の軟化」とその他の原因を理由として、2012年2月末にタンタル採掘を中断することを発表した。ウドギナではタンタルの鉱物を採掘し、グリーンブッシュにおいてさらに精製が行われてから顧客に売却されている。ニオブの大規模生産国はブラジルやカナダであるが、そうした場所で生産される鉱物からも少ないがタンタルが得られる。他に、中華人民共和国、エチオピア、モザンビークといった場所の鉱山がタンタルの比率の高い鉱物を産出し、世界のタンタル生産量の上位を占めている。また、タイやマレーシアのスズ生産の副産物としてもタンタルが得られる。砂鉱床(英語版)からの鉱石を重力選鉱する際に、錫石 (SnO2) だけではなく、少ない比率ではあるがタンタル石も含まれてくる。この結果、スズ溶鉱炉から出てくる鉱滓には、経済的に有用な量のタンタルが含まれている。 タンタルの年間生産量は、1997年から2001年にかけては純タンタル換算で1,478トンから2,257トン程度であった。現状の生産量で考えれば、タンタルの残存埋蔵量は50年以下であると見積もられており、リサイクルの必要性が高まっていることを示している。 タンタルはコモディティとして市場で取引される商品ではなく、また金属単体での取引も基本的に行われていない。鉱石の形態で、売り手と買い手の直接交渉により値段が決定されている。タンタルの価格は、30パーセントTa2O5の鉱石ベースにして、1ポンド(約454グラム)あたりの価格が雑誌等で掲載されている。1980年代から1990年代にかけて長らく20 - 30ドル程度で推移していたが、2000年以降はIT需要の拡大により高騰と、IT不況による停滞がたびたびあり、2007年末時点では35ドル程度となっている。その後は高騰し、2011年から2012年にかけては1ポンド当たりに換算して120ドルを超える高値で取引されていた。
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