環境・生態系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 07:08 UTC 版)
数百年前、サンワーキン川は「カリフォルニア・プレーリー」、「カリフォルニア一年生草原」または「セントラルバレー草原」として広く知られている、草地と沼地が中心の地域を自由に流れていた。サンホアキン・バレー、トゥーレアリ湖、さらにサクラメント・バレー、シエラネバダ山麓、海岸山脈の草原では、バンチグラスの一種であるパープル・ニードルグラスが支配的であったと広く考えられている。現在、この植生群落はバレーの農業が発展したために孤立した小さな地域にしか残っていない。かつてパープル・ニードルグラスが群生した場所は、その植物相の大半が一年生のライムギやカラスムギ類などの外来種へと変わっている。外来種によって形成された植生群落は「バレー草原」と呼ばれることもあり、北はレディング付近から南はベーカーズフィールドに至るまで、セントラルバレーの至るところに広がっている。 サンワーキン川と草地、沼地は太平洋渡り鳥飛来経路(Pacific Flyway)に沿って飛来する渡り鳥が休息し、繁殖する場所を提供している 。かつては、サンホアキン・バレー、とりわけ現在は干拓されているトゥーレアリ湖には数え切れないほどの渡り鳥が飛来した。「カナダガン、マガモ、ハクチョウ、ペリカン、ツル、コガモ、ダイシャクシギなど数百万羽の鳥が青い空を埋め尽くして暗くなり、耳をつんざくような羽音と鳴き声がした。太陽を覆い隠すほどの巨大な鳥の大群が突然飛び立つのをどのように真似したらよいだろうか。初めて湖のそばでキャンプを張った白人は、貨物列車の轟音と鳥が飛び立つ音を比べただろう。」 歴史的には、草地、広い湿地・湖の縁はプロングホーン、ミュールジカ、テュールワピチといいた大型の草食動物、さらにキットギツネなどの肉食動物の生息地となっていた。これら全ての種は、彼らの生息地が耕地となったために生息数が劇的に減少してしまった。 人類の活動は、湿地の95%や元々は山麓部の川沿いに生息していたカリフォルニア・オークの森林、かつて湿地や湖の縁に多く自生していたトゥーリーも変えてしまった。サクラメント・サンワーキンデルタでは農業やインフラがかなり発展しているにもかかわらず、湿地や水たまりが豊富に残されている。19世紀以前、デルタ地帯には栄養分に富んだ泥炭、沖積層、曲がりくねった水路で構成された無数の島の地域であった。この頃から、デルタ地帯の島の大半は耕作され、その結果最大7.6mも地盤沈下した場所もあった。川からの分水は塩分濃度を増加させ、かつてこの地域に生息していた魚類の数は減少した。 世界自然保護基金の定義では、サンワーキン川流域はサクラメント・サンワーキン淡水生態系地域の一部であり、約40種の淡水魚を保護している。これらの中にはヤツメウナギ、チョウザメ、サンフィッシュ、ペルカ属、さらにサケ類やニジマスなどの回遊魚も含まれる。サクラメント川の上流がスネーク川と繋がっていた、地質学的には古代の頃、コロンビア川流域から下ってきた魚もいたと考えられている 。最大で75%の種がサクラメント・サンワーキン川流域の固有種である。最も古くから生息している魚の種族は、侵入した他の種に捕食されたりダムの建設のために打撃を受けている。1993年から1995年の研究では、サンワーキン川本流には主にファットヘッドミノー、レッドシャイナー、スレッドフィンシャッド、インランドシルバーサイドが生息しており、これらは全て外来種である。支流の下流部には主にオオクチバス、コクチバス、レッドイヤーサンフィッシュ、ホワイトキャットフィッシュが生息していた。一方で上流部には外来種のブラウントラウトも生息しているが、比較的多くの固有種が残っている。 スタニスラウス郡の流域には、サンワーキン川国立野生生物保護区が設置されている。
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