現在の鉱山遺構・跡地利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 04:14 UTC 版)
「尾小屋鉱山」の記事における「現在の鉱山遺構・跡地利用」の解説
全長160kmあった坑道の多くは閉山時に埋没処理を施され、製錬所や選鉱場、鉱山住宅などの付帯施設も完全に撤去された。鉱煙被害により、製錬所周辺の山は樹木や草が枯死して岩石が露出した荒涼たる風景が広がっていたが、昭和47年に石川県による緑化事業が開始され、岩を爆破し、その後に土で覆い、植物の種子を散布するなどの作業を進めた結果、現在では樹木が生い茂り、野生動物も多く生息する野山へと生まれ変わった。山域一帯の道は散策道(尾小屋プロムナード)となり、大倉岳への登山コースにもなっている。鉱山施設の多くは消滅したが、現在でも旧坑道を利用した施設や尾小屋町付近一帯が大規模鉱山地帯であった名残を見ることが出来る。 自然科学分野への活用として、「金沢大学環日本海域環境研究センター尾小屋地下実験室」が旧尾小屋鉱山の廃坑道を活用して、世界トップクラスの微弱放射能測定を行っている。坑内岩石中の放射能が比較的に低く、また金沢城解体時に破棄された鉛瓦を遮蔽材として利用することでその効果を高めている。 また、鉱山遺構関連施設のうち、旧鉱山社宅跡に石川県立尾小屋鉱山資料館が設けられており鉱山関連資料が展示されているほか、資料館併設の尾小屋マインロードでは旧坑道約600mを利用して、近世から現代までの採掘の様子などが再現されており、当時の雰囲気を体感できる。併設の小松市立「ポッポ汽車展示館」には鉱山鉄道として敷設された尾小屋鉄道の保存車などが保存・陳列されているほか、トロッコの体験乗車会などが定期的に催されている。 この他に、製錬所操業時に生成されたカラミ(スラグ)で作られたレンガの擁壁、排水溝、蔵や、コンクリートで作られた古い橋などが町の中に残されており、鉱山町独特の景観を醸し出している。近年、ボランティアやNPOによるカラミ煉瓦構造物等、鉱山遺構の整備活動が行われているほか、尾小屋鉱山資料館主催で全国的にも珍しい形をしたカラミ煉瓦(亀甲カラミ)遺構を巡る見学会が催されている。 更に、廃坑道から出る坑廃水を環境基準に適合した水へ浄化して郷谷川へ流す施設として、「赤目坑水処理場」および「倉谷坑水処理場」が設けられ、金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づく指定鉱害防止事業機関が鉱害防止業務を実施している。
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