特権と責務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 02:36 UTC 版)
横綱力士は現役を退くまでその地位を保証されるが、その責として、出場する際には常に最高レベルの相撲内容・成績を求められる。大関以下の力士は、技量が衰えてもその時の実力に見合った番付で比較的長く現役を続けることができるが、横綱にはそれが許されず、横綱の地位に見合った高レベルの実力を発揮できなくなれば、事実上引退を迫られることとなる(かつて千代の山雅信が成績不振を理由に大関への降格を相撲協会に申し出たことがあったが却下された)。そのため、負傷等により若くして引退に追い込まれる横綱も少なくない。一方、横綱は負傷や体調不良を理由に休場しても番付が下がることはないため、横綱が本場所で高レベルの成績を出せる自信のない場合は長期休場することも珍しくない。 所属部屋の規模にもよるが、横綱には通例10 - 15人程度の付き人が付く。綱を締めるために人手を必要とする事情もあって、大関以下の関取に比してその数は非常に多い。また大関以下には無い三ツ揃いの化粧廻しと綱を持っているため、これを入れる必要があるので明荷は支度部屋に3つまで持ちこむことが認められている(大関以下の関取力士は1つしか持てない)。 大相撲の番付の規則では、横綱はいなくても構わないが、大関は必ず最低2名(東西1名ずつ)は存在していなければならないため、大関が不在の時は2名(東西両方)、1名の時は1名(東と西のどちらか一方)、横綱が番付上「横綱大関」として大関の地位を兼ねる。 日本相撲協会が財団法人であった時代は、日本国籍を有する横綱は評議員として役員選挙の投票権をもっていたが、協会が公益法人となったときに廃止された。 横綱は、年寄名跡を持たなくても現役引退後5年間は現役時の四股名のままで年寄(委員待遇)として協会に残ることができる。また、師匠の了承があれば、引退後1年以上の経過をもって部屋を新設することもできる。 横綱の月給は300万円であり、大関(250万円)よりも増える。巡業等、公式の移動においては、大関と同様、鉄道はグリーン席、飛行機はファーストクラスを利用することができる。また東京での本場所の際に両国国技館の地下駐車場に直接自家用車を乗り入れ、駐車することもできる(ただし、現役力士の自家用車の運転は協会の内規で禁止されていて、これは横綱であっても例外ではない。したがって別に運転手を確保する必要がある)。 現役の横綱及び横綱経験者が参加できる横綱会と呼ばれる親睦組織があり、毎年11月場所前に会合を開くのが恒例となっている。
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