特性類、普遍束および分類空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/05/15 13:38 UTC 版)
「直線束」の記事における「特性類、普遍束および分類空間」の解説
一次のスティーフェル・ホイットニー類は滑らかな実直線束を分類する。特に、実直線束(の同値類)全体の成す集まりは Z/2Z-係数の一次コホモロジーの元に対応する。この対応は実はアーベル群の同型である(直線束の間の群演算はテンソル積であり、コホモロジーの群演算は通常の加法とする)。同じように、一次のチャーン類が滑らかな複素直線束を分類し、直線束全体の成す群は整数係数の二次のコホモロジー群に同型となる。ただし、同値な可微分構造(英語版)を持つ(従って同じ一次チャーン類に属する)が異なる正則構造 (holomorphic structure) を持つ束が存在し得る。チャーン類に関する言明は、多様体上の層の指数写像列(英語版)を用いて容易に示せる。 より一般に、分類問題をホモトピー論的観点から見ることができる。実直線束に対する普遍束、および複素直線束に対する普遍束が存在することを見るのである。分類空間の一般論に従って、経験論的にそれぞれ群 C2 および S1が自由に作用するような群作用を持つ可縮空間を探すと、それらの空間は普遍主束として与えられ、その群作用による商として分類空間 BG が与えられる。今の場合にはこれらは明示的に求まったが、無限次元の実または複素射影空間に関する類似対応が存在する。 さて分類空間 BC2 は斉次座標(英語版)の無限列によって与えられる実射影空間 RP∞のホモトピー型とする。これは普遍実直線束を持ち、ホモトピー論の言葉で言えば CW-複体(英語版)上の任意の実直線束が X から RP∞ への分類写像を決定して、L が普遍束の引き戻しに束同型となるようにすることができる。この分類写像は、X の Z/2Z 係数の一次コホモロジーにおいて、 L のスティーフェル・ホイットニー類を RP∞ の標準類から定義するのに用いることができる。 同様の方法により、複素射影空間 CP は普遍複素直線束を持つ。この場合、分類写像は一次のチャーン類を整係数コホモロジーH2(X) において引き起こす。 これにはさらに四元数直線束(実四次元)の場合の類似概念を考えることもできる。これは、実四次次元コホモロジーにおいてポントリャーギン類を生じる。 この方法の基本的な場合は、直線束のみに依存する特性類の理論に対するものである。一般分裂原理(英語版)に従えば、これは(明示的でなくとも)理論の残りの部分を決定することができる。 複素多様体上の正則直線束に関する理論、および代数幾何学における可逆層に関する理論など、それぞれの分野における直線束の理論がよく構築されている。
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