特性部分群と正規部分群の対比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/06/22 16:41 UTC 版)
「特性部分群」の記事における「特性部分群と正規部分群の対比」の解説
G を群とし、g を G の固定された元とすると、共役写像 は G の自己同型写像である(これを内部自己同型という)。すべての内部自己同型で不変な G の部分群を正規部分群という。特性部分群はすべての自己同型に対して不変であるから、すべての特性部分群は正規部分群である。 一方、すべての正規部分群が特性部分群であるわけではない。いくつか例を挙げよう。 H を群とし、G を直積 H × H とする。このとき G の部分群 {1} × H と H × {1} はどちらも正規部分群であるが、どちらも特性部分群でない。とくに、これらの部分群はいずれも、2 つの因子を入れ替える自己同型 (x, y) → (y, x) の下で不変でない。 この具体例として、V を(直積 Z2 × Z2 と同型な)クラインの四元群とする。この群は可換群なので、すべての部分群は正規である。しかし、3 つの非単位元のどんな置換も V の自己同型であるので、位数 2 の 3 つの部分群はどれも特性部分群ではない。ここで V = {e ,a, b, ab} とし、H = {e, a} を考え、自己同型 T(e) = e, T(a) = b, T(b) = a, T(ab) = ab を考える。すると T(H) は H に含まれない。 位数 8 の四元数群(英語版)において、位数 4 の巡回部分群はいずれも正規部分群であるが、いずれも特性部分群ではない。しかしながら、部分群 {1, −1} は、位数 2 の唯一の部分群であるから、特性部分群である。 ここで、H が群 G の唯一の部分群であれば、H は G の特性部分群であることに注意しよう。 n が偶数であれば、位数 2n の二面体群 D は指数 2 の部分群を 3 つ持ち、いずれも正規部分群である。そのうち 1 つは巡回部分群であり、これは特性部分群である。他の 2 つは二面体群であり、D の外部自己同型によって入れ替わるので、特性部分群ではない。 "正規性"は推移的ではないが、"特性部分群であること"は推移性を持つ。すなわち、H Char K かつ K Char G であれば、H Char G である。
※この「特性部分群と正規部分群の対比」の解説は、「特性部分群」の解説の一部です。
「特性部分群と正規部分群の対比」を含む「特性部分群」の記事については、「特性部分群」の概要を参照ください。
- 特性部分群と正規部分群の対比のページへのリンク