熱赤外 (TIR) 帯域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 00:31 UTC 版)
「暗視装置」の記事における「熱赤外 (TIR) 帯域」の解説
「FLIR」も参照 物体から放出される熱赤外線(波長 8-15μm、英語: Thermal InfraRed)を可視化する装置。これによる画像がいわゆるサーモグラフィー画像であり、このための装置を熱線映像装置(英: thermal imager )と称する。なお、第0世代のアクティブ式暗視装置が使用していたのは近赤外線であり、熱線映像装置で使用される熱赤外線と近い周波数ではあるが、特性上大きく異なるものである。 あらゆる物体はそれ自身の温度によった遠赤外線を出している(黒体放射)ため、熱線映像装置は、光源が無い場所でも目標を視認することが可能となる。また、遠赤外線は可視光線と比較して、解像度が劣る一方で透過能力に優れるため、ある程度であれば煙越しに像を捕らえることもできる。例えば兵士や対空砲台が森に隠されていれば、その微妙な温度差による赤外線の強さを画面に表示して見分けられる。 初期のものは、重量と容積が過大で、歩兵用装備として実用的なものではなかった。小型化を難しくした原因は、おおむね下記の二点であった。 -180℃以下にまで冷却しなければ赤外線受光素子が機能しないこと。 赤外線受光素子が一次元のみなので、画像を得るために機械的な走査線スキャン装置が必要だったこと。 特に前者は深刻な問題であり、当初は冷却のためにガスボンベが必須とされ、ガスの残量が使用可能時間を制限した。スターリングエンジンを応用したスターリングクーラーが実用化されると歩兵が肩に担げるほどにまで小型化されたが、歩兵用としてはまだ大きすぎた。 1990年代になって冷却を必要としない二次元受光素子が開発され、初めて小銃のスコープに装着できる実用的なものが完成した。このため、上述の通り、第3世代のパッシブ可視近赤外光暗視装置には、熱線暗視方式を併用している機種もある。
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