無麻酔歯石除去施術者の主張とその誤り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 07:43 UTC 版)
「無麻酔歯石除去」の記事における「無麻酔歯石除去施術者の主張とその誤り」の解説
■麻酔は体に負担がかかる 麻酔薬そのものに対するアレルギーがある場合は別ではあるものの、麻酔薬が体に負担、リスクとなる条件は限定的である。麻酔リスクが増加する条件を一切無視した発言ともいえる。そもそも重症例の集まる大学病院での致死率はイヌとネコで0.4%程度と報告があり、軽症例ではさらに低くなる。 ■全身麻酔はリスクがある 上記同様、麻酔リスクが増加する条件を一切無視した発言である。 ■歳を取っていると麻酔リスクがある 年齢よりも動物の健康状態(基礎疾患やその重症度)が麻酔リスクに大きく影響する。年齢ではなく疾患の有無が重要であるため、年齢だけで麻酔リスクを言及することはできない。 ■心臓が悪いと麻酔リスクがある 正しい麻酔下において、心疾患犬の麻酔リスクは健常犬と同程度という報告がある。むしろ、「心臓が悪いから無麻酔で歯科処置しましょう」のほうが害悪である。 ■歯冠部の歯石のみついている動物であれば無麻酔で可能 痛みによって動物が暴れる可能性が否定できないため、可能と断言できない。また、歯冠部にのみ歯石がついているか否かはプロービングを行わない限り評価は不可能であり、見た目での判断はできない。また、評価をすることは診断となり、獣医師以外のものが行えば獣医師法に抵触する。 ■歯科治療ではなく美容目的 治療ではなく美容目的のために動物を痛みとストレスにさらすのは虐待に当たる可能性がある。 ■治療ではなく予防である ポリッシングを行わない、十分に歯石・歯垢を除去しきれない、歯肉縁下の歯石・歯垢を除去しないことがほとんどであるため、まったく予防にならない。むしろ悪化を引き起こす可能性がある。 ■歯冠部の歯石のみがついている動物であれば予防になる ポリッシングを行わない、十分に歯石・歯垢を除去しきれないことがほとんどであるため、予防にならない。むしろ悪化を引き起こす可能性がある。また、歯冠部歯石のみがついている=歯周炎が存在しない判断は、プロービングによる歯周ポケットの深さの測定または歯科レントゲンのみで診断が可能であるため、視診による診断は不可能である。なお、診断を行うことは獣医療行為であるため、獣医師でないものが「歯冠部のみに歯石が付着している」と判断することは診断に該当する可能性があり、獣医師法に抵触する。 ■無麻酔歯石除去は国に認可されている。 誤りであり事実の曲解である。 ■無麻酔歯石除去は自治体から許可を受けている。 動物取扱業(通常は保管業)として登録しているだけである。許可ではない。
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