無安定 (Astable)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 23:00 UTC 版)
「555 タイマー」の記事における「無安定 (Astable)」の解説
無安定モードでは、555タイマーは特定の周波数で三角波パルスを出力し続ける。抵抗R1がVCCとDISピンの間に接続されていて、もう一つの抵抗がDISピンと、コモンノードを共有するトリガーピンおよびスレッショルドピンとの間に接続される。したがって、コンデンサがR1とR2を通して充電され、サイクルのロー出力期間中は7番ピンは低抵抗のためR2を通してのみ放電される。そしてコンデンサが放電される。 無安定モードでは、パルス出力の周波数はR1、R2、Cの値で決定される。 f = 1 ln ( 2 ) ⋅ C ⋅ ( R 1 + 2 R 2 ) {\displaystyle f={\frac {1}{\ln(2)\cdot C\cdot (R_{1}+2R_{2})}}} 各パルスのハイ時間は次のようにして与えられる。 h i g h = ln ( 2 ) ⋅ C ⋅ ( R 1 + R 2 ) {\displaystyle \mathrm {high} =\ln(2)\cdot C\cdot (R_{1}+R_{2})} また、各パルスのロー時間は次のようにして与えられる。 l o w = ln ( 2 ) ⋅ C ⋅ R 2 {\displaystyle \mathrm {low} =\ln(2)\cdot C\cdot R_{2}} R1とR2はオームを単位とする抵抗値で、Cはファラドを単位とするコンデンサの容量。 R1の定格電力は V c c 2 R 1 {\displaystyle {\frac {V_{cc}^{2}}{R_{1}}}} よりも大きくなければならない。 特にバイポーラタイプの555では、R1の値を低くしてはならない。内部ブロックダイアグラムを見てわかるように、コンデンサCが放電される際、DISピンはほぼ接地電位になるためである。一方で出力のロー時間は上で計算されるよりも大きな値になるだろう。電源オン時はコンデンサが0VからVCCの2/3まで充電されるが、その後のサイクルではVCCの1/3から2/3までしか充電されないため、最初のサイクルは計算上の時間よりもかなり長くなる。 出力のハイ時間をロー時間よりも短くする(デューティサイクルを50%未満)には、小容量のダイオードを用いてカソードをコンデンサ側にしてR2と並列に配置する。これはサイクルのハイ部分でR2をバイパスするため、ダイオード両端の電圧降下に基づいた調整でハイ期間中はR1とCのみに依存する。ダイオード両端の電圧降下はコンデンサへの充電を遅らせるため、ハイ時間は想定よりも長くなる。ロー時間は上と同じになる。バイパスダイオードを付けると、ハイ時間は、 h i g h = R 1 ⋅ C ⋅ ln ( 2 V cc − 3 V diode V cc − 3 V diode ) {\displaystyle \mathrm {high} =R_{1}\cdot C\cdot \ln \left({\frac {2V_{\textrm {cc}}-3V_{\textrm {diode}}}{V_{\textrm {cc}}-3V_{\textrm {diode}}}}\right)} Vdiodeはダイオードの「オン」電流がVCC/R1の1/2の時で、データシートやテストにより決まる。さらに例を挙げると、VCC=5かつVdiode=0.7の時、オン時間は1.00R1Cで「想定される」0.693R1Cよりも45%長くなる。VCC=15かつVdiode=0.3の時、オン時間は0.725R1Cで0.963R1Cにより近づく。Vdiode=0の場合、方程式は0.693R1Cに減少する。 このモードのRESET処理は明確に定義されていない。いくつかのメーカーの実装では、RESETがローの時に他の出力がハイまたはローになる。 2個の抵抗を使った無安定構成では50%のデューティサイクルを作ることはできない。50%のデューティサイクルを生成するには、R1を除去し、7番ピンを接続せず、R2の供給側を3番出力ピンに接続する。この回路は反転ゲートを発振器として使うことと似ているが、無安定構成より部品が少なくなり、TTLまたはCMOSゲートよりも高い出力電流を得られる。555または反転ゲートタイマー用のデューティサイクルは正確な50%ではなく、ハイまたはローの状態でそれぞれ異なる内部抵抗になり、デバイスの出力ピンからタイミングネットワークが供給されるため、ハイの間は出力がドライブされている。(ハイ側のドライブは電気抵抗が増える傾向にある。)
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