災害時の主な健康問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 11:57 UTC 版)
被災者は災害時、見知らぬ人を含めた多数の人との避難生活という、通常とは異なる環境下に置かれる。これにより十分な休息ができなかったり、トイレに行くことをためらったり、避難生活への不安や不満を抱えたりする場合がある。また、家族の安否を気にしたり経済的な不安を抱えたりといった心理的負担も大きい。こうした環境要因により、不安や悩みを抱え、それが胃腸症状やうつ傾向のような身体症状として現れる例が多く見られる。 こうした健康問題への対処の基本は、安全を確保した上で、十分な休養と栄養を取れるよう生活環境を改善することである。また、ボランティアなどの支援者が被災者の不安や悩みを聞いてあげること、気分の転換を行ったり、家族や友人などとの死別を乗り越える「喪の作業」を行うことなどが、ストレスの軽減と心の安定に必要とされる。 どの種類の災害にも共通する健康障害や健康問題を、『災害時の要介護者へのケア いのちとくらしの尊厳を守るために』より示す。 インフルエンザ、ノロウイルス、食中毒などの感染症 クラッシュ症候群 エコノミークラス症候群 廃用症候群 慢性疾患の増悪 熱中症、低体温症 心的外傷(心的外傷後ストレス反応(PTSR)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)) リロケーションダメージ アルコール依存症 孤独死 災害の種類ごとに起こりやすい健康障害を、『災害時の要介護者へのケア いのちとくらしの尊厳を守るために』より示す。 地震骨折、挫創、打撲などの外傷 火災による熱傷、気道障害、一酸化炭素中毒 粉塵による呼吸器障害 水害汚水などによる感染性の疾患(肺炎など) 風邪、ぜんそくなどの呼吸器疾患 水に濡れることによる低体温症 がれきの飛散による外傷 皮膚疾患 噴火火砕流などによる負傷、熱傷 熱風による気道熱傷 火山ガスや火山灰の吸入による呼吸障害
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