消化のための構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 10:15 UTC 版)
一般に独立栄養生物である植物は光合成によってグルコースを作れるので、食物を必要としない。ただし植物であっても、窒素やリンなどは体外から取り入れる必要があるものの、これは最初から無機化合物の状態のものを吸収するので、消化の働きは持たない。ただ、食虫植物のように消化酵素を分泌する植物も存在する。また、藻類の中には、有機物を取り入れる能力を持つものもある。なお、従属栄養生物である細菌類、菌類、動物などは消化か、それに似た働きを持っている。 消化酵素が体外に分泌され、そこで分解された有機物を吸収する場合を体外消化と言う。これに対して、餌となる物体をまず体内の然るべき所に取り入れて、そこで消化を行うものを体内消化と言う。個々の細胞に関しても、細胞の外で分解する場合には細胞外消化、細胞内に取り入れてから消化するのを細胞内消化と言う。 体外消化の場合には、消化は特に決まった部分で行われるわけではない。これに対して、体内消化の場合、餌を取り込み、それを蓄え、分解吸収するための構造が存在する。これを消化器官と言う。動物一般では、体内に袋があり、体表に続く管によってつながっている。これを消化管と言い、一般には腸と呼ばれる。この腸(小腸)上皮の膜部分で行う消化は膜消化・表面消化(接触消化)と言う。 いわゆる腔腸動物と扁形動物などを除けば、消化管の口は2つあって、取り入れる口と消化吸収した残りを排泄する口が分かれる。この、入り口の方を口、出口の方を肛門と言う。消化管には消化酵素やそれを助ける物質を分泌する器官が付随することが多い。それらは一般に消化腺と呼ばれる。口の周囲には餌の取り込みを助けるために触手や顎、歯などの摂食器官が付属することも多く、それらが機械的消化の一部を担っている場合もある。 単細胞生物や原生生物が体内消化する場合、細胞内消化であることも多い。細胞内消化の場合、細胞が粒子をエンドサイトーシスによって取り込み、細胞内の袋状の構造に入れ、その膜を通して消化酵素が分泌され、分解された物質は膜を通して吸収される。この袋状の構造を食胞と言う。同様の働きは、多細胞生物にも見られる場合があり、その場合にはその働きはリソソームが行う。
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