海王星探査
太陽から45億kmもはなれた海王星は、とても寒い星
海王星は、主にガスでできています。表面は強い風が吹き、とても寒い星です。太陽からは45億kmもはなれたところにあり、大きさは地球の4倍ほどです。公転軌道の1部が冥王星と交差(こうさ)しているので、1999年までは、冥王星より遠いところにありました。海王星の表面には、青黒いたまご型のもよう大暗斑(だいあんはん)が大小2つあり、白いメタンの雲が浮いています。細い輪が4本、衛星は8個あります。
ボイジャー2号が撮影した海王星。中央左側の薄暗い部分が大暗斑です。
海王星の大気85%は水素だった
天王星と同じ水素やメタン、ヘリウムなどが主成分と考えられていましたが、あまりに距離が遠いため地球からの観測ではよくわかりませんでした。ボイジャー2号は海王星に4,900kmまで接近し、大気の成分は水素85%、ヘリウム13%、メタン2%であることを観測しました。また、海王星は全体に青く見え、表面には激しい大気の活動を示すような地球ほどもある巨大な暗い斑点があり、メタンが凍ったものと思われる白い雲があることも観測しました。
海王星にも4本の輪を確認。自転周期は16時間
ボイジャー2号の観測により、木星、土星、天王星と同じように、海王星のまわりにも淡い4本の輪がはっきりと確認されました。また、海王星の磁気軸は自転軸から50度もずれていることもわかりました。そのほか、海王星大気のオーロラ発光を確認するとともに、これまで17~18時間と観測されていた自転周期が16時間であることもわかりました。
ボイジャー2号がとらえた海王星の4本の輪。色の濃い2本の輪と、うすい2本の輪が見えます。
トリトン、ネレイドをはじめ海王星の衛星は全部で11個
地球からの観測で海王星には2つ衛星があることがわかっており、トリトンとネレイドと名づけられています。ボイジャーの観測でトリトンの直径は地球からの観測で考えられていたものよりもはるかに小さく2,720kmであること、表面温度はこれまでの予想よりも低いマイナス200度であり、現在も活動中と思われる窒素(ちっそ)を吹き上げる「氷火山」があることなどがわかりました。また、ボイジャー2号によって、海王星のまわりを回る新たな6つの衛星も発見されました。
さらに2002年に新たに3つの衛星がアメリカハーバード・スミソニアン宇宙物理学センターにより発見されました。これにより、海王星の衛星は合計11個あることがわかりました。
海王星探査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 04:55 UTC 版)
海王星探査の項目においては、海王星の探査の歴史について述べる。現在まで海王星を探査した探査機は1989年8月25日に海王星に接近したボイジャー2号のみである。NASAはネプチューン・オービターの計画を議論していたが、まだそれ以外に大規模な計画は構想されていない。海王星は天王星型惑星であり、固体の表面を持たないと考えられているため、海王星面への着陸機あるいはローバーなどの計画も存在していない。
ボイジャー2号
ボイジャー2号は現在まで、唯一の海王星に接近した探査機であり、海王星の北極上空わずか約4,800km(3,000マイル)の距離を通過した。ボイジャーは大気、環、磁気圏、衛星についてのさまざまな情報を得た。また、大暗斑やトリトンでの噴火などが発見された。

ボイジャー2号は海王星が木星の3%しか太陽光を受けていないにもかかわらず、海王星の大気が活動的であることを明らかにした。また、木星の大赤斑に似た大暗斑や小暗斑を発見した。しかしながら、1994年にハッブル宇宙望遠鏡で撮影された画像から大暗斑は消えたことが明らかになった。また、このとき海王星の大気にはD2と呼ばれる高輝度のアーモンド形の場所があり、これは雲頂面より高く、かなり早く動く雲であることがわかり、ザ・スクーターと名づけられた。
環に関しては4層のリングと部分的な環の証拠を見つけた。惑星電波天文装置は海王星の1日が16時間7分であることを突き止めた。また地球と同じようにオーロラも観測されたが、はるかに複雑なものであった。
6つの衛星を発見したが、そのうち詳細な画像を取れたのはプロテウス、ネレイド、トリトンの3つである。プロテウスは楕円形であることが分かり、このような大きさでも球形に丸まらず楕円形になることが分かった。プロテウスはすすのようにくらい色であった。

ネレイドは1949年に見つけられたが、知られている情報は少なかった。トリトンからはおおよそ40,000km(25,000マイル)離れた位置を航行し、これがボイジャー2号が近づいて探査した最後の太陽系の天体になった。トリトンでは顕著な間欠泉活動と極冠、とても薄い大気や雲などが発見されている。

未来の計画
アメリカ航空宇宙局はカッシーニのようなミッションの可能性について調査しているが、予算やその他の制約から任務の成功にはまだ遠いとされる。
未来のミッションは、原子力電池とボイジャーに類する機構を持った探査機で行われると考えられているが、技術の進歩からカメラや記憶容量はより良いものが使われる。また、軌道周回を行うのであればより強い誤差修正が必要とされる。
関連項目
外部リンク
海王星探査と同じ種類の言葉
- 海王星探査のページへのリンク