海外での反応・評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/08/06 17:51 UTC 版)
「セクター別アプローチ」の記事における「海外での反応・評価」の解説
日本の提案する「セクター別アプローチ」について、欧州連合は積極的に理解や賛同を示すことはなく、あえて否定はしない、という姿勢をとっている。 日本が念頭に置いているのは、削減目標を定めるにあたって産業・分野別に削減可能量を積み上げるという方式であるが、欧州連合は、政府が温室効果ガスの国内総排出量(総排出枠)を定め、それを個々の主体に排出枠として配分し、主体間の排出枠の一部の移転(または獲得)を認めるキャップ・アンド・トレードが主な方策であるべきだと考えており、セクター別アプローチは補完的なものだとしている。 日本について経済産業省が削減可能量を積み上げた長期エネルギー需給見通しでは、2020年に1990年比で4%しか削減できないとされている。それに対しEUは、90年比20%減、他の先進国が合意すれば30%減という目標を掲げている。日本のセクター別積み上げ目標ではその1/5しか達成できないことになる。 また米国やロシア、中東欧諸国などでは、主にエネルギー価格が安いという理由から、現状では多くのセクターにおいてエネルギー効率が悪い(省エネ機器の導入率などが低い)。そのため、「セクター別アプローチ」は不利なオプションとなる。 他方、途上国も「セクター別アプローチ」に反発している。彼らにすれば日本が厳しい国別総量目標から逃れようとしているように見えるようだ。また、積み上げという名のもと途上国にまで削減義務を押しつけるものだと危惧する。 「セクター別アプローチ」に対しては、中国やインドなど巨大排出国を巻き込む方途として一定の期待がある。日本政府もG8環境会合などでは一定の理解を得られたとしているが、現実的には大きな困難が予想された。 しかし、2009年のCOP15におけるコペンハーゲン合意では、セクター別アプローチの基本的な考え方であるボトムアップアプローチが採用され、トップダウン型の京都議定書と対照的な形で国際的合意が成立した。セクター別アプローチはまた、現在日本をはじめ主要先進国が取り組み始めた「二国間オフセットメカニズム」(京都議定書の外での先進国ー途上国間の温室効果ガス削減事業とそれによるクレジット創出)に発展消化しており、今後の国際交渉における主役の考え方に育ちつつある。[要出典]
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