浅葱地花葉文緞子胴服
主名称: | 浅葱地花葉文緞子胴服 |
指定番号: | 2534 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1990.06.29(平成2.06.29) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1領 |
時代区分: | 桃山 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 上杉景勝【うえすぎかげかつ】に仕え、家老として手腕をふるった武将直江兼続【なおえかねつぐ】(一五六〇-一六一九)が着用したという胴服である。 胴服の表に用いられた生地は、ダマスクと呼ばれる舶来の絹織物で、五枚繻子【しゆす】の昼夜組織【ちゆうやそしき】で文様を織り出した緞子【どんす】の一種である。文様は組紐を思わせる曲線の枠組のなかに、多葉状の複雑な形状の花文を入れている。こうした文様は十五、六世紀のイタリア、イスパニア方面で盛んに織り出された意匠の一つであり、この胴服の表地は南蛮貿易によってわが国にもたらされたものと考えられる。 この浅葱色のダマスクを表地とし、裏地に金茶色練緯【きんちやいろねりぬき】を用いて袷の胴服に仕立てている。形状は身幅が広く、脇下から裾にかけて襠【まち】に相当する裂の幅出しをおこない、裾広がり、前下りとなり、襟は表地と共裂の通し襟である。袖は小袖形で幅狭く、袂の丸みは小さい。 ゆったりとした身頃に幅の狭い袖を付けた形状は、片倉小十郎重長が豊臣秀吉から拝領したと伝える小紋染胴服【こもんぞめどうふく】(重文、仙台市博物館所蔵)や、片桐貞隆が同じく秀吉から拝領したという黄地菊桐紋付紗綾胴服【きじきくきりもんつきさやどうふく】(重文、豊国神社所蔵)など、桃山時代の胴服に共通する特色を示すものである。 この胴服は、当時の交易によって西欧からもたらされた染織品の一端をうかがわせるとともに、形状や仕立てに桃山時代の胴服の特色をよく示した遺品である。 |
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