法然

世界宗教用語大事典

ほうねん 【法然】

鎌倉新仏教の先駆者。浄土宗開祖。法然房源空。美作（岡山県）の人。押領使の父が敵の夜討ちで死んだのを機に九歳で出家、一三歳で比叡山に登り、源光・皇円・叡空らに学び、さらに諸師に参じ、一切経を読破のすえ、中国の善導の『観無量寿経疏』で開眼し凡夫救済の念仏に帰投した。一一七五（承安五）年四三歳の時で、これが浄土宗開宗の起点。以後、比叡山を下り京都で布教し、天皇・公家から遊女・盗賊まで教化したが、旧仏教からのねたみと、弟子の不始末のため土佐（実際には讃岐）に流され、すぐ許されて京都で没。親鸞・熊谷直実など大物の弟子が多く、東山天皇より円光、中御門天皇より東漸、桃園天皇より慧成、光格天皇より弘覚、孝明天皇より慈教、明治天皇より明照、昭和天皇より和順の各大師号を贈られている。主著『選択本願念仏集』。（一一三三～一二一二）→ 浄土宗