法制・規定など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 21:13 UTC 版)
放送の「品質」の判断・解釈基準は国や地域、また関係法令、運用体制、放送技術の利用実態により異なる。 日本においては、放送法93条・111条・115条・124条および総務省令放送法施行規則127条・159条に基づき、認定基幹放送事業者、特定地上基幹放送事業者、基幹放送局提供事業者、登録一般放送事業者は、決められた期間(前3者は半年、登録一般放送事業者は1年)ごとに総務大臣(手続き上は、各放送局を管轄する総務省各地方総合通信局)に「放送設備の状況に関する報告」を行わなければならない。報告は書式が定められ、放送の中断をもたらしたすべての事例に関する原因・措置内容などが記録される。総務省においては報告義務のあるこれらの事故を統計上「放送停止事故」または「放送の停止事故」と呼んでいる。 また、これらの4種の放送事業者は放送法113条・122条・137条に基づき、上記に加えて「設備に起因する放送の停止その他の重大な事故であつて総務省令(引用注:放送法施行規則124条・125条・156条・157条)で定めるもの」を起こした場合、総務大臣(手続き上は、各放送局を管轄する総務省各地方総合通信局)への報告が義務付けられている。 放送法施行規則では、放送事業者は「重大な事故」(または「重大事故」)について次の例を報告するべきと定めている。 地上基幹放送の親局、または衛星基幹放送が、放送の全部または一部を15分以上停止させた場合(試験放送を除く) 地上基幹放送の中継局、または衛星一般放送・有線一般放送が、放送の全部または一部を2時間以上停止させた場合(試験放送を除く) 故意または重大な過失によるもの、すなわち当然防止できた件については、放送法114条・123条・138条に基づき、指導や処分の対象となる。 2020年度の地上系・衛星系放送における停止事故291件のうち、15分未満の放送停止が全体の43パーセントを占め、10時間以上の放送停止は8パーセントにのぼった。 放送法の各条文により、放送事業者は、あらかじめ届け出た「技術基準」に適合している状態を維持している(≒放送があくまで正常である)ことが明確に分かるような配慮が常に求められるため、たとえ放送事故を説明するためであっても、放送事故の様子を再度放送することや、放送事故の意図的な具体的再現は法的に認められない(放送事故の再現例は実例の節で後述)。そのため、放送事故が起きた番組を再度放送する必要がある場合には、該当部分を修正したうえで放送されるほか、テレビドラマあるいは放送制作を紹介する教養番組などにおいて、放送事故を説明する場合は、事故映像を受信した受像機の様子を撮影するなど、慎重に描写されることが多い。
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