油底鯥とは? わかりやすく解説

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アブラソコムツ

別名:油底鯥、エスカラー
英語:escolar

サバ科海水魚バラムツ近縁種水深100メートルから1キロメートル程度深海生息する

アブラソコムツは、肉質脂肪分に富み、その脂肪分が非消化性ワックス)を多く含んでいることで知られる。脂の乗った身は中々美味とされるが、その脂は人体では消化吸収できないため、下痢に近い形でそのまま排泄されることになる。調理法かかわらず刺身にしても煮て焼いても同様である。

アブラソコムツを食べ過ぎると、脂分が体中皮脂などから漏れるように排出される皮脂漏症」の症状あらわれる。このため、アブラソコムツはしばしば「食い過ぎると尻から脂分が漏れ出る」危険なと言われる

日本ではアブラソコムツの販売禁じられているため、市場流通することはない。ただし、日本近海でも釣れるため、沖釣りなどで自身釣り上げたり釣ったり、あるいは漁師の網にたまたまかかった個体融通してもらったりすれば入手して食べることも可能ではある。ウェブ上ではアブラソコムツ食の体験談などもいくつか目にすることができる。その体験談多くが、事後にやはり大変なにあったという後日談綴っている。

油底鯥

読み方:アブラソコムツ(aburasokomutsu)

クロタチカマス科海水魚

学名 Lepidocybium flavobrunneum


アブラソコムツ

(油底鯥 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/21 10:12 UTC 版)

アブラソコムツ
アブラソコムツ Lepidocybium flavobrunneum
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : サバ亜目 Scombroidei
: クロタチカマス科 Gempylidae
: アブラソコムツ属 Lepidocybium
: アブラソコムツ L. flavobrunneum
学名
Lepidocybium flavobrunneum
Smith, 1843
英名
Escolar[2]

アブラソコムツ(油底鯥・脂底鯥、英名:Escolar[2]エスカラー)は、スズキ目サバ亜目クロタチカマス科のアブラソコムツ属 Lepidocybiumに属する。各国の温熱帯の深海域に生息する。ワックスエステル魚の一種で、人間にとっては食用とした場合に有害である。

名称

静岡県ではサットウと呼ばれる。大東諸島では、同科異属のバラムツと区別せずにインガンダルマまたはダルマという別名で呼ばれる。

特徴

体長100センチメートルを超える大型魚で、大きいものは150センチメートル近くにもなる。

体は黒茶色で、目が白くて大きい。歯は鋭く、ムツのように厳つい顔立ちをしているが、食用魚のムツとは同じスズキ目で深海魚である以外には関係は遠い。

引きが強いので、スポーツフィッシングの対象にされることもある。深度150 - 1000メートル付近の深海に生息。

利用

マグロ、特に大トロに似て美味とされるが、有害である[3]

日本ではバラムツとともに販売禁止に指定され(食品衛生法第6条2項:有害な物質を含むもしくはその恐れのある食品)、判例もこれを支持している[4]ため、市場には流通していない。 しかし上記の通り釣りの対象で、釣獲や混獲で入手可能なことから一部で食用にされている。

有害性は、油脂成分がワックスエステルであることに由来する。これは深海魚に多い形質で、ヒトは消化できずヒマシ油などと同じく瀉下作用(下剤効果)を発揮する。そのため大量に摂取すると腹痛や下痢を起こすリスクがあり、さらには便意を伴うことなく油脂が肛門からそのまま一気に漏れ出す、あるいは皮脂漏症(皮膚から油が漏れる病気)を起こしたり、下痢が重症だと脱水症状昏睡に至るおそれもある。販売流通の禁止されていない海外のサイトによると、"never in portions larger than six ounces." と、Escolar(アブラソコムツ)の、6オンス(約170グラム)以上の切り身は摂取しないことを強く薦めている[5][6]

2013年2月、アメリカの月刊誌『アトランティック』は、アメリカ国内で販売されているマグロの59%が偽装とする記事を掲載した[7]。これによると寿司店(sushi venues)は74%と最も多く、また「white tuna」と表示されているものの84%がアブラソコムツであるとして、油下痢に注意するよう促している。

台湾では、「油魚」(ヨウユー)と称し、魚卵からすみと同様に加工した「油魚子」(ヨウユーズー)[8]と呼ばれる食品が屏東県東港鎮で考案され、クロマグロサクラエビと合わせて「東港三宝」[9]と称する名産品として販売されている。

参考文献

  • 社団法人日本水産物貿易協会編 編『商用魚介名ハンドブック』(改訂第3版)成山堂書店、2005年。ISBN 978-4-425-82783-1 

脚注

  1. ^ Smith-Vaniz, W.F., Williams, J., Pina Amargos, F., Curtis, M. & Grijalba Bendeck, L. 2015. Lepidocybium flavobrunneum. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T190287A16510672. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T190287A16510672.en. Accessed on 27 October 2023.
  2. ^ a b 商用魚介名ハンドブック(2005)、p.50
  3. ^ 自然毒のリスクプロファイル:魚類:異常脂質”. 厚生労働省. 2012年7月17日閲覧。
  4. ^ 最一小決平成10年7月10日刑集52巻5号297頁
  5. ^ Use Caution When Eating Escolar”. Kitchn (2008年10月21日). 2019年10月27日閲覧。
  6. ^ Beware sushi menus that offer 'white tuna' or 'white maguro'”. YouTube. KHON2 News (2015年6月19日). 2020年4月18日閲覧。
  7. ^ “59% of the 'Tuna' Americans Eat Is Not Tuna”. The Atlantic. (2013年2月22日). https://www.theatlantic.com/business/archive/2013/02/59-of-the-tuna-americans-eat-is-not-tuna/273410/ 2020年4月18日閲覧。 
  8. ^ 油魚子”. 東港區魚會. 2012年5月13日閲覧。
  9. ^ 東港三寶”. 東港區魚會. 2012年5月13日閲覧。

関連項目

外部リンク



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