クロタチカマス科とは? わかりやすく解説

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クロタチカマス科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/01 07:58 UTC 版)

クロタチカマス科
バラムツ Ruvettus pretiosus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : サバ亜目 Scombroidei
: クロタチカマス科 Gempylidae
英名
Snake mackerels
Escolars
下位分類
本文参照

クロタチカマス科学名Gempylidae)は、スズキ目サバ亜目に所属する魚類の分類群の一つ。クロタチカマスアブラソコムツなど、中層遊泳性の深海魚を中心に少なくとも16属24種が所属する[1]。日本からは11属12種が知られている[2]

概要

クロタチカマス科の魚類はすべて海水魚で、熱帯亜熱帯から温帯海域にかけての深海に広く分布する[3]。中深層(水深200-1,000メートル)を主な生息範囲とし、海底から離れた中層を遊泳して生活する種類が多い。

本科の仲間は体長数十センチメートルから2メートル近くに達する中・大型の魚類で、資源量の多い一部の種類は食用として利用される。一方で深海での浮力確保のため体に多量のワックスを含む種類もあり、バラムツアブラソコムツは日本では食用としての販売が禁止されている[4]

体は細長く、左右にやや平たく側扁するものから、円筒形に近いものまでさまざま。下顎は上顎よりもやや長く突き出ている。主上顎骨が露出し、は長く鋭い[1]

本科魚類は明瞭な尾鰭をもち、近縁のタチウオ科との重要な鑑別点となっている[1]。胸鰭は体側の低い位置にある。腹鰭は退縮傾向が強く、1本の棘条しかもたないものや、カゴカマスなどほとんど消失した種類もある。臀鰭の棘条は1-3本、軟条は8-35本。背鰭と臀鰭の後方には小離鰭が存在する。椎骨は32-58個。

分類

Nelson(2016)では16属24種が認められている。アブラソコムツ属(1種)は本科の中で最も古い起源をもつグループと考えられており、他のすべての属の姉妹群とみなされている[1]Tongaichthys 属など数属はサバ科と多くの形質を共有するほか、ホソクロタチ属はタチウオ科と中間的な特徴をもつなど、本科魚類の位置付けには不明瞭な部分も多い[1]。本項では2025年4月時点でFishBaseに認められている16属26種を示す[5]

クロシビカマス Promethichthys prometheus (クロシビカマス属)。水深数百mの深海で暮らしているが、夜間には表層に移動することもある[3]
ハシナガクロタチ Nesiarchus nasutus (ハシナガクロタチ属)。体は細長く側扁する
バラムツ Ruvettus pretiosus (バラムツ属)。体長1.8mに達する大型種で、スポーツフィッシングの対象となる。体内に多量のワックスを含むため食用には適さない
ミナミオオスミヤキ Thyrsites atun。「Snoek」と呼ばれる種で、南半球を中心に食用とされる
  • アオスミヤキ属 Epinnula
    • アオスミヤキ Epinnula rex
    • Epinnula magistralis
  • アブラソコムツ属 Lepidocybium
  • カゴカマス属 Rexea
    • オオメカゴカマス Rexea nakamurai
    • カゴカマス Rexea prometheoides
    • Rexea alisae
    • Rexea antefurcata
    • Rexea bengalensis
    • Rexea brevilineata
    • ミナミカゴカマス (オオカゴカマス) Rexea solandri
  • クロシビカマス属 Promethichthys
  • クロタチカマス属 Gempylus
  • トウヨウカマス属 Neoepinnula
    • タチカマス Neoepinnula americana
    • エラブスミヤキ Neoepinnula minetomai
    • トウヨウカマス Neoepinnula orientalis
  • ナガタチカマス属 Thyrsitoides
    • ナガタチカマス Thyrsitoides marleyi
  • ハシナガクロタチ属 Nesiarchus
    • ハシナガクロタチ Nesiarchus nasutus
  • バラムツ属 Ruvettus
  • フウライカマス属 Nealotus
    • フウライカマス Nealotus tripes
  • ホソクロタチ属 Diplospinus
    • ホソクロタチ Diplospinus multistriatus
  • Paradiplospinus
    • Paradiplospinus antarcticus
    • ミナミホソクロタチ Paradiplospinus gracilis
  • Rexichthys
    • Rexichthys johnpaxtoni
  • Thyrsites
    • ミナミオオスミヤキ Thyrsites atun
  • Thyrsitops
    • ヒラシビカマス Thyrsitopos lepidopoides
  • Tongaichthys
    • シビカマス Tongaichthys robustus

出典・脚注

  1. ^ a b c d e 『Fishes of the World Fifth Edition』 p.415
  2. ^ 土居内龍「クロタチカマス科」、中坊徹次 編・監修『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2020年第5刷(初版2018年)、440頁、ISBN 9784092083110
  3. ^ a b 『日本の海水魚』 p.655
  4. ^ 厚生省通達(昭和45年9月4日付 環乳第83号および昭和56年1月10日付 環乳第2号)
  5. ^ FAMILY Details for Gempylidae - Snake mackerels”. FishBase. 2025年4月1日閲覧。

参考文献

外部リンク


クロタチカマス科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/09/01 04:06 UTC 版)

サバ亜目」の記事における「クロタチカマス科」の解説

クロタチカマス科 Gempylidae にはクロシビカマス・バラムツ・アブラソコムツなど1624種が記載される深海中層性だが、夜に浅海上がるものもいる。 背鰭棘条部が前後長く腹鰭退化的である。背鰭棘条部と軟条部に分かれ尾鰭前に小離をもつ。側線体側の上下に分かれるものもいる。 アオスミヤキ属 Epinnula アブラソコムツ属 Lepidocybium カゴカマス属 Rexea クロシビカマス属 Promethichthys クロタチカマス属 Gempylus トウヨウカマス属 Neoepinnula ナガタチカマス属 Thyrsitoides ハシナガクロタチ属 Nesiarchus バラムツ属 Ruvettus フウライカマス属 Nealotus ホソクロタチ属 Diplospinus 他5属

※この「クロタチカマス科」の解説は、「サバ亜目」の解説の一部です。
「クロタチカマス科」を含む「サバ亜目」の記事については、「サバ亜目」の概要を参照ください。

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  • クロタチカマス科の標準
  • クロタチカマス科の1属
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