江戸期の戯作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 18:45 UTC 版)
草双紙の赤本の例は幾つかあるが、似たような内容である。最古は延宝・天和(1680年頃)出版の赤小本『京東山ばけ狐』で、狐の物語である。 近藤清春の画による享保年間の赤本『ぶんぶくちゃがま』はその改作で、(一部の役割が)狐から狸に置き換わっている。あらすじは、京都の東山殿(慈照寺)の茶坊主で、ぶんぶくという名の者が、狐を捕らえて料理しようとする、窮した狐は茶釜に化けるが、火にかけられ「ぶんぶくちゃがまに尾が生えた」などと坊主たちにはやし立てられる。火傷を負った狐は貉に復讐を託す。貉は、事が発覚して裸で追放された四人の坊主たちを見つけ、巨大な陰嚢を広げて覆いかぶせて暖めるが、捕獲されて東山殿(足利義政)に献上される。 鱗形屋が版元の『ぶんぶく茶釜』(刊行年次不詳)も同様の内容で、ただし吸物(つまり狸汁)にされそうになった貉(狸)が自ら報復する話にすり替わっており、近藤清春の作品の改作と目されている。ここでは、茶坊主らがはやし立てる文句は「文福茶釜に毛が生えた」であるが、これは元禄頃から常套句となっているとされる。台詞として浄瑠璃(近松門左衛門作の『双生隅田川』(享保5年(1720年)初演)にも使われており、菊岡沾涼『本朝俗諺志』では釜でなく釜の持ち主に毛が生えたことをさす、と守鶴の伝説につじつまを合わせた説明をしている。
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