水上航行モード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/18 03:12 UTC 版)
陸上または船上から水上航行に移る場合には、まず陸上モードのままで水上に進み出る必要があり、斜路が求められる。水上に浮かんだ姿勢で水上航行モードへの変換が行われる。 本車は水上と陸上での両方で十分な運動性能を満たすために、従来には例のないほど多数の可動部を車体底部周辺に備える。 最も目立つのは前部のフラップである。通常は前部装甲版として車体前部に沿って折り畳まれているフラップも、航行時には前底部のヒンジを軸に前方へ伸ばされ、途中に屈曲のある大きな斜面を構成することでプレーニングに適した「船体形状」を成す。底部はいくつかの段階を経て形状の変換が行われる。最初に関与するのは最も斬新な技術であるキャタピラ部の格納機構である。車体の左右から下面に突き出ているキャタピラ部は転輪とキャタピラが全て上へと上昇し車体底部より上に位置する。次に、車体後部上方に跳ね上げられていた後部フラップが後部ドア左右のヒンジを軸に下ろされ、キャタピラ部後ろを含む車体後部の底に平らな面を作り出す。 底部には船で云う竜骨の位置、前後中央線で分割された2枚の大きな底部フラップの板がそれぞれ車体左右の縁を軸に180度回転して、左右の装甲板下端にまで届きキャタピラ部を閉じ込める。これで底部のほとんどが平面となっているが、車体の前部の底ではキャタピラがまだ見えている。このままでは水上を航行する時に大きな抵抗となるため、車体前の底部から曲線を帯びた板が延びてきて前部フラップとキャタピラ部の覆い板とを繋ぐように隙間を塞いでしまう。 普段は閉じているウォータージェット推進システムの噴出口が回転して開き、底部フラップで隠されていた吸水口からいつでも水が取り込める状態となる。 これら一連の「トランスフォーメーション」によって、車体が水上航行モードに変形させて、底面は段差のない平らな面となり、前部のフラップと共にプレーニングに適した形状となる。 車体底部から取り込まれた水は、車体後部の2基のジェットポンプによって勢いつけられ、車体後部の左右2つの噴射口から噴射される。2,703馬力のディーゼルターボエンジンの力でウォータージェット2基が95万リットル/分の水を噴射し、35トンの「船体」は水面を滑るように進むプレーニングによって46km/h(24.8kt)の速度が達成される。水上航行ではディーゼルエンジンを過負荷状態で運転するために40km程度の短い距離でしか高速航行はできない。 水上を航行するEFV
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