正規分布の適用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 01:25 UTC 版)
自然界の事象の中には正規分布に従う数量の分布をとるものがあることが知られている。また、そのままでは変数が正規分布に従わない場合もその対数をとると正規分布に従う場合がある。 正規分布が統計学上特別な地位を持つのは中心極限定理が存在するためである。中心極限定理は、「独立な同一の分布に従う確率変数の算術平均(確率変数の合計を変数の数で割ったもの)の分布は、元の確率変数に標準偏差が存在するならば、元の分布の形状に関係なく、変数の数が多数になったとき、正規分布に収束する」というものである。このため大標本の平均値の統計には、正規分布が仮定されることが非常に多い。 前述のごとく自然界の事象の中には、正規分布に従う数量の分布をとるものがあることが知られている。しかしそれは必ずしも多数派というわけではない。19世紀ではさながら「正規分布万能主義」といったものがまかり通っていたが、20世紀以降そういった考え方に修正が見られた。今日においては社会現象、生物集団の現象等々、種別から言えば、正規分布に従うものはむしろ少数派であることが確認されている。例えば、フラクタルな性質を持つ物は正規分布よりも、パレート分布になることが多い。人間は自然界の事象とは違って自分の意思をもっているため、たとえば、子供の成績などは決して正規分布にはならない。しかし、そもそも理論上、正規分布の x の値は負の無限大から正の無限大まで取れるのに対して、多くの事象は最小値(例えば比例尺度におけるゼロ)と最大値(例えばテストにおける100点満点)が予め定まっている場合があり、そのような事象が完全な正規分布に従うとするには無理がある(その際はcensoringつまり打ち切りを考慮したり、対数正規分布を用いたりするとより正確な確率を求めることが出来る場合がある)。また、0 および自然数しかとらない離散確率分布、例えばポアソン分布や二項分布を連続確率分布である正規分布で近似することも一般的に行われている。
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