歌手としての重要性
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「フリッツ・ヴンダーリヒ」の記事における「歌手としての重要性」の解説
ヴンダーリヒは2オクターヴを超える輝くような澄んだ声で知られ、また当初より自然でわざとらしさのない演技、かつ高い技術を決して失わない歌い方で知られた。並外れた音楽家としての集中力と才能を持ち、それを役に投じることができた。今日に至るまで20世紀最大のテノール・リリコではないかと目され、少なくともドイツの歌手史上最も重要な歌手の一人と見なされている。ルチアーノ・パヴァロッティは1990年にインタビューで、歴史上もっとも傑出したテナーはと聞かれ「フリッツ・ヴンダーリヒ」と答えている。 当たり役にはモーツァルト『魔笛』のタミーノ、『後宮からの誘拐』のベルモンテ、ロッシーニ『セビリアの理髪師』のアルマヴィーヴァ、リヒャルト・シュトラウス『無口な女』のヘンリーなどがある。特に当代最高のモーツァルト歌いとしてその水準を高め、その業績は現在でも評価されている。またシュトゥットガルトやシュヴェツィンゲン音楽祭では新作オペラの初演にもたっている(ヴェルナー・エックの『検察官』など)。特筆すべきはハンス・プフィッツナーの歌劇『パレストリーナ』の卓越した解釈である。またオペラの他にも、オラトリオ、オペレッタ(一部はフランツ・マルスザレク指揮)、歌曲から娯楽音楽まで、そのレパートリーは幅広かった。フーベルト・ギーゼンと組んだフランツ・シューベルト(『美しき水車小屋の娘』など)やロベルト・シューマン(『詩人の恋』など)といった、ドイツ歌曲の演奏は、今日でも愛好者が多い。宗教曲としてカール・リヒター指揮のバッハ「クリスマス・オラトリオ」、歌つき交響曲としてオットー・クレンペラー指揮のマーラー『大地の歌』など。その演奏は多くの放送番組(特に南西放送(SWF)、西ドイツ放送(WDR)、南ドイツ放送(SDR)、バイエルン放送(BR))や録音に記録されており、没後も繰り返し再版を重ねている。なお、ヴンダーリヒが活躍した時代のドイツでは、オペラは原語ではなく現地語で上演することが一般的であったため、ヴンダーリヒのオペラ作品の録音も、ヴェルディの『リゴレット』や『ドン・カルロ』などはじめ、大半がドイツ語で歌われている。
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