欧州議会と国内議会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 16:41 UTC 版)
「欧州議会」も参照 直接選挙で選ばれる欧州議会の権限はリスボン条約の下で強化される。リスボン条約では、従来より共同決定手続が適用される範囲が広がり、一部の例外を除くほぼすべての政策分野で適用されることになる。これにより欧州議会は欧州連合理事会と同等の権限を持つようになる。ただし、一部分野では諮問手続が適用される。また、欧州議会は非義務的支出だけでなく欧州連合の予算全般にわたっての権限も新たに得ることになる。 加盟国の国内議会は欧州連合条約新第33条(修正前第48条を置き換える)に定められる基本諸条約の改定に関して、また新第34条(修正前第49条)の新規加盟の申請に関して重要な役割が与えられることになっている。国内議会は欧州連合の機能に関する条約修正後第69条の刑事司法協力の強化について拒否権を行使することができるようになる。 (日本語仮訳)欧州連合条約新第12条 国内議会は連合が正常に機能するために、以下の手段によって能動的に貢献するものとする。 (a) 欧州連合の国内加盟国の役割に関する議定書にしたがって、欧州連合の機関によって通知、送付された欧州連合の法令案への対処 (b) 補完性および比例性原理の適用に関する議定書で規定されている手続に従って、補完性原理の尊重への配慮 (c) 欧州連合の機能に関する条約第70条にしたがって自由、治安、司法の枠組み内におけるこれらの分野の連合の政策実施に対する評価メカニズムへの参加、および第88条と第85条にしたがって欧州刑事警察機構の政治的監視と欧州司法機構の活動の評価への関与 (d) 本条約第48条にしたがって、諸条約の改定手続への参加 (e) 本条約第49条にしたがって、連合への加盟申請の通知の受理 (f) 欧州連合の各国議会の役割に関する議定書にしたがって、各国議会および欧州議会との間での相互協力への参加 上記の点は、欧州連合の意思決定の過程における国内議会により大きな役割を求めていたオランダの首相ヤン・ペーター・バルケネンデの最大限の譲歩の結果である。 附属第2議定書では欧州連合の施策が補完性原理を遵守していることを確かなものにするために、国内議会により大きな役割を与えている。リスボン条約では、欧州委員会が提出した法案の国内議会による調査期間を8週間(欧州憲法条約では6週間)とし、また法案が補完性原理に反している理由を述べた意見を国内議会は欧州委員会に対し送付できる。さらに施策の再検討を求める決議を採択することができる。再検討が必要であるとする票が3分の1(自由、司法、治安に関する欧州連合の施策案については4分の1)を上回った場合、欧州委員会は施策案の再検討をしなければならず、再検討後に施策案に変更を与えないと決定した場合は補完性原理にかなっているとする欧州委員会の根拠を議会に提示しなければならない。
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