機構上の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 20:04 UTC 版)
望遠レンズは被写界深度が浅い特性を持つので、より精密なピント合わせが必要である。このため、本格的な望遠レンズの使用は使用するレンズの焦点距離にかかわらず測距精度が一定の距離計連動式カメラでは難しく、ピントを直接確認できる一眼レフカメラが望遠レンズに適する。 望遠レンズは光学設計上、長く重くなることが不可避である。これを直進式ヘリコイドで、全体を前後させるピント合わせ機構にすると、ピントリングの回転が重く回転数も膨大なものになってしまう。このためマニュアルフォーカス時代には、ノブやクランクを回転させてフォーカシングを行うラック&ピニオン式(比較的最近の製品ではペンタックス67用800ミリF6.7ED等)や、ノボフレックスのスーパーラピッドフォーカシングレンズシステムのようなピストン方式のレンズが製造された。マニュアルフォーカス時代には、撮影者が握力を鍛えて重いヘリコイドを回転する努力をしたり、ヘリコイド部分に自作のハンドルを設けたり、前述のノブ式やピストン式でレンズ繰り出しの重さを改善する対策がなされることで対処された。 オートフォーカスカメラ用のレンズでは、レンズ繰り出しトルクがあまり重いとモーターで動かせなくなる。また構造上カメラ本体に近い部分でまとめたい場合も多く(特にカメラ内部から駆動する場合)、そのため、いわゆるインナーフォーカス・リアフォーカスなど、レンズ構成の一部だけを前後させる方式が専ら採用され、また、そのような方式でのフォーカシングができる構成の研究開発が進んだ。 焦点距離が長くなればなるほど、ピント合わせ時のレンズ繰り出し量が長くなる。そのため、最短撮影距離は焦点距離が増えるにつれて長くなっていく傾向がある。 冒頭で少し説明した「望遠型の構成を持つレンズ」として(「望遠タイプ」などと呼ばれる)、もっと焦点距離の短い標準ないし広角に属する仕様のレンズを、コンパクトにまとめるためにあえて望遠の構成とした例もある(例えばオリンパスXA)。構成にもよるがインナーフォーカスにできることもカメラのコンパクト化に有利である。
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