標準時と中央標準時
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 03:37 UTC 版)
日本における「標準時」に関する法令は十分に整理されておらず、法令上「標準時」と「中央標準時」という名称は現れるが、「日本標準時」という名称は現れない。 日本国の法令では、標準時の定義について「東経135度の子午線の時」をもって日本における一般の標準時と定め、その標準時を中央標準時と称すること以外に具体的な定めはない。 ただし、標準電波の発射および標準時の通報に関しては、総務省(情報通信国際戦略局技術政策課)がその事務をつかさどる(この所掌事務は、旧電気通信省から旧電波監理委員会、旧郵政省を経て総務省に引き継がれている)。さらに、郵政大臣(総務大臣の前身)が法令に基づいて発した郵政省告示により、標準電波で通報される標準時は協定世界時を9時間進めた時刻とされる(この定めは、1971年(昭和46年)の郵政省告示(1972年(昭和47年)1月1日施行)からである)。なお、独立行政法人情報通信研究機構は法令と告示に基づいて標準電波を発射し、および標準時を通報する業務を行う。 また、中央標準時の決定および現示に関しては、大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台がその事務を目的の一部として設置されている(この設置目的は、1955年(昭和30年)に改正された旧東京大学東京天文台の目的から引き継がれている)。したがって中央標準時は、法令に基づいて国立天文台が中央標準時として決定・現示する時刻と言える。 情報通信研究機構が通報する標準時と、国立天文台が決定・現示する中央標準時との関係については、どちらの機関も国際原子時の作成に寄与する原子時計を運転し、それらの時計で決定する協定世界時(UTC)+9時間をそれぞれ標準時、中央標準時としているが、いかに不確かさが小さい(正確度と精度に優れた)時計であっても、同一の時計ではないので完全に時刻が一致することはない。これについて、情報通信研究機構を所管する総務省と国立天文台を所管する文部科学省は共同告示により、情報通信研究機構が通報する標準時については国立天文台の決定する中央標準時により、その偏差を算出し、これを情報通信研究機構において公表するとしている。 なお、過去の関係やその経緯については、#標準時の通報の歴史 を参照。
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