植物内生真菌の分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 15:43 UTC 版)
植物内生真菌は非常に多くの分類群に存在し、また植物界のほぼすべての生物に普遍的に存在する。彼らは、それぞれ異なる経緯によって植物内部に侵入し、内部共生を始めた。もともと昆虫病原性であった真菌が植物内生真菌へ進化したものが知られている。 植物根と共生する菌根は7つのグループに分けられる:アーバスキュラー菌根、エリコイド菌根、アルブトイド菌根、モノトロポイド菌根、ラン菌根、外菌根、内外菌根である。このうち、内部共生するものは前者5グループである。グロムス門のアーバスキュラー菌根と子嚢菌門のエリコイド菌根が一般的である。アルブトイド菌根、モノトロポイド菌根およびラン菌根は担子菌門に属する。これら内生真菌が元来、昆虫病原性であったとする仮説は、内生真菌が植物防御を誘導した際、防御に応答して真菌の増殖が活発化することから支持されている。また、植物組織にコロニー形成することも根拠の一つである。 内生菌には、宿主とする植物種が決まっている宿主特異的な種が存在する。一つの植物種に特異的な内生真菌種は多く存在する。このため、植物個体には多種の特異的真菌が同居している。これら宿主特異的な内生真菌は特に温帯環境において多数存在する。彼らの宿主特異性の程度は非常に高く、この高さは同属種との宿主の獲得を争う競合に競り勝つための進化であると考えられている。 一方、宿主に非特異的な真菌が食害防御に関与する例も報告されている。Piriformospora indicaは地球上のあらゆる植物の根に内生することが可能な真菌である。 P. indicaは多くの農作物(大麦、トマト、トウモロコシ)において根病原菌に対する防御と収量を高めることが知られている。P. indicaのほか、アクレモニウム属真菌はウシノケグサ属の5亜属と内生していることが確認されている。また、多種にわたる内生真菌と集合体を形成する。この集合体の形成は帰化植物にも確認されている。 内生真菌は宿主の生活型や生活史戦略に関わらずイネ科や他の多くの植物に普遍的にみられる。数の内生真菌の株あるいは種が共同体を形成することは、単一の株/種の効果とは異なる様々な効果を与えている可能性がある。しかし一般的に、植物が受け取る恩恵の大部分は、単一の真菌によるものと考えられている。
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