植物体内での合成・分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/03 05:14 UTC 版)
「サイトカイニン」の記事における「植物体内での合成・分布」の解説
サイトカイニンの生合成や応答の分子レベルでのしくみについて研究が進みだしたのは21世紀に入ってからのことであり、詳しいことはまだわかっていないことが多い。サイトカイニンの合成経路は2つの説がある。1つ目はtRNAは特定のアデニン残基がイソペンテニル化されているので、その分解産物がサイトカイニンになるという経路である。しかし仮にこの経路が存在したとしても、tRNAの分解速度から考えると、主要な経路ではないと考えられている。2つ目の説はAMPのイソペンテニル化に続いてリン酸、リボースが脱離していく経路である。この経路は植物病原菌で確認されて(正確には病原菌が植物体内へイソペンテニル化の酵素もしくは遺伝子を導入しているので、病原菌自身がサイトカイニン合成経路をもつわけではない)おり、植物についても同様の経路で合成していると考えられていたが、近年の研究によると植物ではイソペンテニル化の基質はATPまたはADPであるらしい(2007年、茎頂分裂組織で働く、リン酸化リボースを脱離させる加水分解酵素が稲で単離された(Nature Vol.445 652-655, kurakawa他))。サイトカイニンは主に根で合成され、道管を通って地上部に輸送される。分裂組織、未熟な種子、形成途中の維管束などで濃度が高い。
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