植物体内での合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/28 00:26 UTC 版)
植物体内ではジャスモン酸はα-リノレン酸から過酸化、環化、β酸化を介して合成される。このリノレン酸カスケードにおける律速段階は最初の反応の過酸化で、触媒する酵素はリポキシゲナーゼである。続いてヒドロペルオキシドデヒドラーゼによりエポキシ化し、アレンオキシドシクラーゼによる環化、リダクターゼによる五員環の還元ののちβ酸化を繰り返してシス体の7-イソジャスモン酸が生産される。この7-イソジャスモン酸は熱力学的に不安定であり、トランス体のジャスモン酸へ異性化する。ただし、植物ホルモンとしての活性本体は、シス体の7-イソジャスモン酸とイソロイシンが縮合した(+)-7-イソジャスモノイル-L-イソロイシンである。 ジャスモン酸は植物体内のどこでも合成されるが、隣接する場所だけでなく離れた場所にも輸送される。葉から根など一個体で輸送される場合はアルキル末端がヒドロキシ化されてツベロン酸になり、続いて末端ヒドロキシ基にβ-グルコースが結合し配糖体であるツベロン酸グルコシドとなることで親水性を増し、植物体内の別の部位へ移動する。[要出典]植物個体間での移動は昆虫による摂食傷害を受けた際などに起き、ジャスモン酸メチルに変換されることによって揮発性を上げ、飛散してシグナルを伝達する。これがいわゆる「植物の悲鳴物質」(の1つ)である。また、環境ストレス(乾燥や塩などによる水(浸透圧)ストレスや、栄養が不十分な場合、その他傷害を受けた場合など)に応答して合成が促進される。
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