松本零士とドラグーン
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この銃のモデルとなったコルトドラグーン(コルトM1848)は1973年に連載が開始された『ワダチ』に登場している。この作品は地球を捨てて新しい惑星に国ごと移住する日本人を描いているが、彼らには新天地で身を守るための武器としては近代的な銃器の所持は許されず、黒色火薬使用の前装銃しか許されていなかった。これはこの移住計画を進めた佐渡教授の思想によるものである。佐渡教授から主人公の山本轍に手渡されたスーツケース入りの銃のセットもドラグーンを含むコルト社の前装式リボルバーで、その中で轍が実際に使用したのがドラグーンである。 佐渡教授はこの銃について「人類が希望と無限の未来を信じていた時代の武器」というような表現で熱弁を振るっており、佐渡教授の口を借りた松本零士の思い入れが窺える。 また、同様のパーカッションロック式リボルバーが登場する作品にもう一つ『海軍拳銃1851』がある。こちらに登場するのはコルトM1851で、この作品は反機械化と夢の復活を謳い、人類誕生前の地球に行きそこのアダムとイブになるという話であるが、松本の分身とも言える主人公を誘う教授曰く「これ以上発達した武器は人類から夢を奪うだけだ」といって機械に頼るだけの人類と現状を侮蔑するような言葉を使っている。これは松本が現代社会の陥るやも知れない負の未来に対する警鐘である。 トチローとドラグーンを結ぶ作品としては、『ガンフロンティア』の原型になった読切作品『幽霊西部人(ゴーストウェスターナー)』『同2』がある。これにはすでにビジュアルデザインの固まった眼鏡のガニマタチビで帽子にマントなトチローが、日本人鍛冶によりドラグーンを一回り小さくしつつ、鉄の質と精度ははるかに凌駕してコピーした銃を二丁拳銃とする名人級のガンマンとして登場する。この作品では、一丁しか銃をもたない場合は火薬を倍量詰めて貫通力を高める、という先込め雷管式の特徴を生かしたトリックも登場している。 同銃を松本が作品中に頻繁に登場させるのは、松本自身がこれを自身で所有(古式銃に分類されるため美術品として所持登録)していることも理由として大きい。
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