東洋の類話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 05:47 UTC 版)
中国では明代末期の楊茂謙の著書『笑林評』(1611年)にも類話がある。また、漢文で書かれたものとしては『産語』上の「皐風第六」の説話があり、これは序文によれば漢代以前に失われた漢籍の復刻なので、この民話の源流という意見も出ている。これは項(うなじ)の瘤を持つ樵夫が鬼に瘤をとってもらい、頚に瘤を患う里人が新しい瘤をつけられる話である。しかしながら、この『産語』(1749年)は本物の古典ではなく、編者である太宰春台による作り話(「疑古文」)というのが有力説である。 朝鮮の「瘤取り爺」も多数の説話群をなしている。高橋亨が訳した「瘤取」の例があるが、最初の老爺は、自分の美声のもとは頬の瘤であると妖怪(トッケビ)を騙して売り払い、二番目の老爺も歌唱力はあったものの、売られた瘤には効果がないと返品されて瘤が増えてしまう。他にも崔仁鶴(チェ・インハク)百選の「こぶとり爺」がある。 ハングル文字では「ホクッテン・イヤギ」(혹뗀이야기; Hogtten-iyagi、「瘤を取られた話」の意)の題名で1923年版の『普通学校朝鮮語読本』に掲載されている。これは日本の支配下において朝鮮総督府から支給されたものであるが、トッケビの研究者である中央大学校の金鐘大(キム・ジョンデ)などは、この物語を朝鮮に伝わる民話と認めず、日本の瘤取りの翻案と認識している。 しかし朴美暻(パク・ミギョン)は、すでに「ホック・リーと小人たち」という瘤取り譚が、アンドリュー・ラング編『みどりいろの童話集』(1892年)に所収されており、これを朝鮮民話とみるなら、統治以前に朝鮮で成立していたことになると指摘する。ラングは童話を中国語からの訳とし、背景も中国になっているが、「ホク」が朝鮮語で「瘤」であることから、朝鮮の物語であることが濃厚と朴はみている。
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