本塁上の捕手へのタックルやブロックについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/17 05:34 UTC 版)
「クロスプレイ」の記事における「本塁上の捕手へのタックルやブロックについて」の解説
かつての公認野球規則では、本塁上の衝突・タックルに関しては何も定められていなかった。他方で、ブロックに関しては公認野球規則の7・06(a)に規定があり、「捕手はボールを持たないで、得点しようとしている走者の進路をふさぐ権利はない」「この規定に違反したとみなされる捕手に対しては、審判員は必ずオブストラクションを宣告しなければならない」と一定の場合走塁妨害になる旨が定められていた。 メジャーリーグでは、2011年5月26日に、前年の新人王バスター・ポージーが本塁上でスコット・カズンズのタックルを受けて左下腿の腓骨骨折と左足首靱帯断裂の重症を負った際、ポージーの代理人がルール変更を主張したり、ジャイアンツファンがカズンズを脅迫したりしたため話題となった。そのため、直後にメジャーリーグ公式ホームページによって緊急アンケートが採られたところ、カズンズはクリーンなプレーをしたという投票が60%前後であった。また、ポージーの同僚コディ・ロスは、彼が離脱したことは残念だとしながらも、以前スライディングをして足を入れた際に捕手にブロックで膝を落とされて大怪我をした(なお、日本では小久保裕紀が2003年に同様の怪我をした)ことに触れ、捕手が走路にいるなら当たりに行く方を好む旨を述べている。 そのため、メジャーリーグでは本塁上のタックルはなくならないとも考えられており、逆に日本ではプロのレベルでもおとなしくて構わないという見解もあるなど、日米で考え方の違いがありプレーに影響を及ぼしていた。例えば、アメリカではクロスプレイ時に捕手は必ずマスクをつけているが、日本ではマスクを外す指導がなされていた。 結局2013年春頃からアメリカの新聞紙で「マッチョ・ナンセンス」(和訳すれば無駄マッチョ、蛮勇という意味合い)という表現で体当たりを前提とした本塁上のクロスプレーを盛んに批判する風潮が見られるようになり、カズンズなどの例を教訓とした形でMLBでは2014年度からようやく「捕手の本塁ブロックを禁止する」規定(コリジョンルール)を盛り込むこととなった。日本プロ野球においても2016年よりコリジョンルールが採用され、タックルやブロックは禁止されるようになった。 一方で、メジャーリーグや日本プロ野球でコリジョンルールが採用される前から本塁でのタックルやブロックを制限する規則を採用していた大会や団体もあった。国際野球連盟主催の15歳以下世界選手権においては、本塁上のタックルを禁止する反面、捕手側もボールを持たない状態でのブロックも禁止しており、違反の場合はそれぞれ守備妨害や走塁妨害が宣告されることになっていた(2011年までは18歳以下が対象であった)。 日本のアマチュア野球での規則(アマチュア野球内規)では、2008年に「オブストラクションの厳格適用」という項目が定められた。この中では、捕手または野手が、あらかじめ塁線上およびその延長線上の塁上に位置して(足または脚を置いて)送球を待つことを禁止し、違反した場合は厳格に走塁妨害を適用することとしている。また、走者のタックルに関しては、2013年のアマチュア野球内規の改正において、「危険防止(ラフプレイ禁止)ルール」という項目が定められた。 日本高等学校野球連盟では高校野球特別規則を定め、その中で走塁妨害に独自の解釈を採用して球の不保持時の捕手の立ち位置を規定している。
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