朝鮮の翻案小説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/09 01:09 UTC 版)
朝鮮の翻案小説の中の代表的なものでは、高麗時代には『太平広記』から始まった仮伝体小説の翻案があったし、李氏朝鮮時代には中国の三言二拍から始まった翻案がある。 開化期には、唱歌や新小説が出る以前に、外国の作品を朝鮮語に翻訳した作品や翻案小説が、その準備過程として先に現われた。日本や西洋の文学を原典として翻案が成り立った。1897年に李海朝(ko:이해조)の訳述で出た『鉄世界』は最初の翻案小説であり、新小説以前に出現したものである。『鉄世界』が翻案される以前に、聖書と賛美歌の朝鮮語翻訳が成されており、文学的な作品では1895年に宣教師ゲール(J. S. Gale)によってジョン・バニヤンの『天路歴程』が朝鮮語に翻訳された。その後1907年の翻刊の政治小説『瑞士建国誌』は初期の新小説に影響を与えたし、続いて翻案小説は、末広鉄腸の『雪中梅』を翻案した具然学の『雪中梅』を含め、尾崎紅葉の『金色夜叉』を翻案した趙重桓の『長恨夢』、『双玉涙』、『不如帰』、李相協のアレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯』を翻案した『海王星』、『再逢春』、『貞婦怨』、閔泰瑗の『鉄仮面』など外国作品が翻案されて一般に広く読まれた。これらの翻案小説は新小説とほとんど時を同じくして、その内容も類似したものが多い。このような翻案小説に対して、外国文学の模倣や伝統の断絶と見る否定的な見解と、比較文学的関心からその価値を認める肯定的な見解とがある。 日本の家庭小説の翻案小説が多く『毎日申報』に連載され、新派劇の公演とも連携していたが、朝鮮の風俗改良の意図もあった。
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