有価証券関連業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 09:08 UTC 版)
金融商品取引法は、従来の証券取引法のほか、金融先物取引法や投資顧問業法等を統合するかたちで施行されているため、上記のとおり、金融商品取引業の業務には他の業法で規制されていた業務も包含されることとなっている。 他方、銀証分離(Separation of banks and securities companies)から、従来より、銀行等の金融機関は、従来の証券業の業務を行うことができないとされていたが(旧証券取引法第65条、金融商品取引法第33条第1項)、金融機関が取り扱えない業務を区分する概念として、金融商品取引上に「有価証券関連業」という概念が導入されることとなった(金融商品取引法第28条第8項)。 従来の証券業は、株式・債券などの有価証券について、発行体と投資家とを結びつけることを業務としている。伝統的に、その主要業務は発行市場および流通市場のそれぞれについて2種類、合計4種類に分類されている。 発行市場に関する業務は、引受(アンダーライティング)業務、売出(セリング)業務に分けられている。株式会社が新規に株式を公開する際には資金調達のため新株の発行を行い、また既存株主の保有する株式の一部の売出しを行うのが通例であるが、証券会社は当該会社の株式を一定の価格で買い取ることを約束する(引受業務)。買い取った株式は一般投資家に売りさばき(売出業務)、販売価格と引受価格の差額が引受人の利益となる。債券についても同様であるが、発行体から手数料を受け取って引受を行うことが多い。流通市場に関する業務は、顧客の売買注文を取引所に取り次ぐ委託売買(ブローカー)業務と、自己売買(ディーリング)業務に分けられる。 具体的には、以下のとおりである(金融商品取引法第28条第8項)。 有価証券の売買又はその媒介、取次ぎ若しくは代理(第1号) ※上記のディーリング業務やブローカー業務である。 取引所金融商品市場又は外国金融商品市場における有価証券の売買の委託の媒介、取次ぎ又は代理(第2号) ※ブローカー業務 市場デリバティブのうち、次に掲げる取引(第3号)有価証券の先物取引 有価証券の指標先物取引 有価証券のオプション取引 有価証券の指標スワップ取引 店頭デリバティブ(第4号)有価証券の先渡取引 有価証券の店頭指標等先渡取引 有価証券の店頭オプション取引 有価証券の店頭指標等オプション取引 有価証券の店頭指標等スワップ取引 外国市場におけるデリバティブ取引(第5号) 有価証券関連デリバティブ取引の媒介、取次ぎ若しくは代理又は第3号若しくは第5号に掲げる取引の委託、取次ぎ若しくは代理(第6号) ※ ブローカー業務 有価証券等清算取次ぎであって、有価証券の売買、有価証券関連デリバティブ取引その他政令で定める取引に係るもの(第7号) 有価証券の引受け(第8号) ※アンダーライティング業務 有価証券の売出し(第8号) ※セリング業務 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い(第8号) ※募集・売出しがセリング業務である。
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