月飛行方式の選択とは? わかりやすく解説

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月飛行方式の選択

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 06:45 UTC 版)

アポロ計画」の記事における「月飛行方式の選択」の解説

ケネディアポロ計画到達点を明確に定義したことにより、技術者たちはこの設定され目標対し生命への危険やコスト、あるいは技術飛行士能力への要求最小限抑えるための飛行方式決定する必要に迫られることになり、その結果以下の四つの案が検討された。 直接降下方式単体宇宙船で月に向かい着陸して帰還するというもの。この方式では、計画されただけで実現することのなかったノヴァのような、非常に強力なロケットが必要とされる地球周回ランデブー方式(Earth Orbit Rendezvous, EOR):複数ロケット15基以上を必要とするという案もあった)で部品打ち上げ直接降下方式宇宙船および地球周回軌道脱出するための宇宙船組み立てるというもの。軌道上各部分をドッキングさせた後は、宇宙船単体として月面着陸する月面ランデブー方式:二機の宇宙船続けて打ち上げる方式燃料搭載した無人宇宙船先に月面到達しその後人間乗せた宇宙船着陸する地球帰還する前に必要な燃料無人船から供給される。 月周回ランデブー方式(Lunar Orbit Rendezvous, LOR):いくつかの単位から構成される宇宙船を、1基のサターンV打ち上げるという方式着陸船月面活動している間、司令船月周回軌道上に残りその後活動終えて離昇してきた着陸船と再びドッキングする。他の方式比較すると、LOR方式それほど大きな着陸船を必要とせず、そのため月面から帰還する宇宙船重量(すなわち地球からの発射総重量)を最小限抑えることができる。 1961年初めまでは、NASA内部では直接降下方式支持されていた。多く技術者たちにとっては、地球周回軌道上においてすらいまだ行なわれたことのないランデブードッキングを、月周回軌道上で実現させることへの不安が大きかったしかしながらラングレー研究所のジョン・フーボルトなどの反論者たちは、LOR方式によって得られる大幅な重量削減という利点強調した60年から61年にかけ、フーボルトはLORこそが最も確実で実践的な方式であると、各方面訴えて回ったNASA内部階級飛び越え副長官のロバート・シーマンズのところに一連の文書送った。フーボルトは、シーマンズが以前「(計画について)いろいろと雑音発する者がいる」などと発言していたことを知っていたが、LOR方式検討から外すべきではないと嘆願したそんな中で、シーマンズが1961年7月にゴロヴィン(Golovin)委員会立ち上げたことが、計画方針決定するひとつの転機となった。この特別委員会にはアポロ計画使用すべきロケット推薦されることになっていたが、その判断をするためには、まず月着陸方式決定することが重要な要素であると考えられた。委員会当初地球周回方式と月周回方式混成案を推薦していたが、フーボルトらの陰の働きかけもあり、LOR方式検討が、着陸方式実現可能性公表する際の重要な役割を果たすようになった1961年終わりから1962年はじめにかけ、ヒューストン有人宇宙センター内のNASA宇宙任務グループSpace Task Group, 1958年創設された、技術者たちの集団からなる有人宇宙飛行計画NASA内部研究グループ)もLOR支持意見変えはじめ、マーシャル宇宙飛行センター技術者たちもやがて周回ランデブー方式メリット確信するようになり、彼らの方針転換1962年7月に、ウェルナー・フォン・ブラウン博士によって非公式に発表された。NASALOR方式採用正式に表明したのは、同年11月のことであった。これについて宇宙開発研究家のジェームズ・ハンセンは、「もし1962年頑迷なNASAがこのささやかな変更受け入れなかったとしても、アメリカ月面到達していただろうが、ケネディ公約した1960年代中に月に到達させる」という目標はほぼ確実に達成されることはなかっただろう」と述べている。 ちなみにLOR方式への変更は、ずっと後になってアポロ13号月軌道途中で酸素タンクの爆発事故発生させた時、吉と出ることとなった。もしこの時、独自の生命維持装置を持つ月着陸船存在してなければ飛行士たちは確実に命を落としていたところであった

※この「月飛行方式の選択」の解説は、「アポロ計画」の解説の一部です。
「月飛行方式の選択」を含む「アポロ計画」の記事については、「アポロ計画」の概要を参照ください。

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