月軌道上の「コロンビア」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 21:05 UTC 版)
「アポロ11号」の記事における「月軌道上の「コロンビア」」の解説
単独で月を周回する飛行を続けていた間、コリンズはまったく寂しさを感じることはなかった。「アダム以来、そのような孤独を知る者はいない」といわれているが、コリンズはそれを使命の一部だと強く感じていた。コリンズは自叙伝の中で、「この冒険は3人の男で構成されたものであり、3番手の私も、ほかの2人のいずれかと同様になくてはならないものなのだと思う」と記している。月を周回する「コロンビア」が月の裏側を飛行して、地球との無線連絡ができない48分間の間にコリンズが感じたのは、不安でも孤独でもなく、むしろ「意識、予感、満足、自信、歓喜に近い感覚」であったと綴っている。 コリンズの最初の任務のひとつに、月面上の月着陸船の位置を特定することがあった。どこを探せばよいかの見当をつけるために、ミッション管制センターはコリンズに月着陸船は目標地点から4マイル(6.4キロ)ほど離れた辺りに着陸したようだと無線で伝えた。コリンズは着陸地点と思しき辺りの上空を通過するたびに月着陸船を見つけようとしたが、不可能だった。初めて月の裏側を飛んだとき、コリンズは燃料電池によって生成された余分な水を捨てたり、アームストロングとオルドリンの帰りを迎えるために船室を整理整頓するなど、船内の環境整備活動を行った。 3周目の周回で月の裏側に入る直前に、ミッション管制センターはコリンズに冷却液の温度に問題があると知らせた。冷却しすぎるようなことがあれば、「コロンビア」の部品が凍結してしまうかもしれなかった。ミッション管制センターは、手動制御に切り替えたうえで、環境制御システム故障時の手順17(Environmental Control System Malfunction Procedure 17)を実施するよう、コリンズに助言した。ところが、コリンズはその代わりとして、問題を引き起こしているシステムのスイッチを自動から手動に入れて、また自動に戻し、冷却剤の温度を注視しながらも、日課となっていた通常の管理保全作業を続行した。「コロンビア」が再び月の表側に出たときには、問題は解決したと報告することができた。それから次の2、3周は、月の裏側で過ごす時間が「ほっとする」("relaxing")時間だったとコリンズは記している。アームストロングとオルドリンがすべての船外活動を終えてからは、コリンズは来たるべきランデブーに備えて睡眠休憩をとることができた。「コロンビア」が「イーグル」を迎え入れる飛行計画に応じて、コリンズは一定の不測の事態に備えて「コロンビア」を「イーグル」のところまで降下させられるような準備ができていた。
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