最初の銀河の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 23:24 UTC 版)
「銀河の形成と進化」の記事における「最初の銀河の形成」の解説
ビッグバン直後には宇宙は非常に均質であった。これは宇宙マイクロ波背景放射の観測で確認できる(ゆらぎは10万分の1以下である)。この頃、宇宙にはほとんど構造はなく、銀河もなかった。そのため、「初期の滑らかで均質な宇宙から、どのようにして今日のような不均質な宇宙が生じたのか?」という疑問が生じる。 このような構造が生じた過程に関する、近年の最も受け入れられた仮説(理論)は、「今日見られる全ての構造は、初期の宇宙の密度のわずかな不均一性(『初期ゆらぎ』)から生じた」とするものである。そして「冷やされた暗黒物質の塊が凝縮し始め、その中でガスが凝縮し始めた。初期ゆらぎは重力によってガスや暗黒物質を密度の濃い領域に引き寄せ、こうして後に銀河となる種が形成された。このような構造の中から最初の銀河が生まれた。(最初の銀河が形成されるころ)宇宙はほぼ水素、ヘリウムと暗黒物質で占められていた。」また「「最初の原始銀河が形成されるとすぐに、その中に含まれる水素とヘリウムが集まり始め、最初の恒星が誕生した。」などという説明が多い。 2007年、ケック天文台のカリフォルニア工科大学のチームは、宇宙ができてわずか5億年である132億光年の彼方に6つの恒星からなる銀河を発見した。また、2011年1月には、ビッグバンから4億8000万年後に当たる130億光年離れた場所に銀河が発見された。 また「宇宙は、形成直後には非常に活発であり、銀河は低質量の銀河を吸収しながら急速に成長した。この過程の結果、近傍の宇宙に銀河が分散していった」などと説明される。(2dF銀河赤方偏移サーベイも参照)。「銀河は宇宙において独立した存在ではなく、宇宙全体に大きく網を張るような構造を作って分散している。網の目に当たる地点は宇宙初期の小さな密度のゆらぎがあった場所であり、密度の高い銀河団が形成される。それ故に、銀河の分布は初期宇宙の物理学と密接に関連している。」 銀河が先なのか? ブラックホールが先なのか? なお、(2017~2018年ころには)さかんに「(ほぼ)全ての銀河の中心部には『超大質量ブラックホール』が潜んでいる、ということが明らかになってきた」などと指摘されるようになっている。 銀河の形成とブラックホールの形成の因果関係については、「星がたくさんできたので、中心のブラックホールが大きくなれた」とする仮説と、「まず巨大なブラックホールがあったから、その周囲で星の形成がさかんになったのだ」とする仮説があり、つまり2つの異なる方向性の仮説が提唱されており、一種の「鶏が先か?卵が先か?」論争にも似た議論が起きている。どちらの仮説がより妥当なのか、実際の観測によって確かめようとする試みが行われている。フランスの天体物理学者ダヴィッド・エルバズ(フランス語版)が率いる研究グループがヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLTを使ってクエーサー「HE0450-2958」を観測し、これが銀河の中になく、むき出し状態になっており、少し離れた場所に星の形成が盛んな銀河を発見した。エルバズは「我々の研究が示唆していることは、巨大ブラックホールが、星の形成のトリガー(ひきがね)となり得る、ということであり、ブラックホールは自身のホスト的銀河を「つくって」いる、ということである。こうした関係は、なぜより大きなブラックホールを抱える銀河にはより多くの星があるのか? という問題についても説明を提供してくれるかも知れない。」と述べた。
※この「最初の銀河の形成」の解説は、「銀河の形成と進化」の解説の一部です。
「最初の銀河の形成」を含む「銀河の形成と進化」の記事については、「銀河の形成と進化」の概要を参照ください。
- 最初の銀河の形成のページへのリンク